要点
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鍼治療は、不眠症の重症度を軽減し、睡眠の質を改善するという点で、偽鍼治療と同様の効果を示す可能性がある。非活動的な対照と比較して、鍼治療は不眠症の重症度を軽減し、睡眠の質を高めるのに有効であるようだ。しかし、そのエビデンスには確信がほとんどない。
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不眠症の認知行動療法(CBT-I)と比較すると、鍼治療は不眠症の重症度と睡眠の質を改善する効果はおそらく低い。
がん患者の不眠症とその治療法
不眠症はがん患者によくある問題である。このような睡眠不足は実際に患者の日常生活に悪影響を及ぼし、心身の調子を悪くする。がん患者およびがんサバイバーの不眠症に対する現在の推奨治療法には、心理学的アプローチ(CBT-Iなど)、薬物療法(睡眠薬など)、その他の方法(身体運動など)がある。CBT-I(不眠症に対する標準的な会話療法)は最も有効な治療法であると考えられているが、訓練を受けた実践者の不足と保険の障壁により、多くのがん診療病院で広く利用できない。
知りたかったこと
不眠症の重症度、睡眠の質、有害事象、睡眠日誌パラメータ(入眠時刻、起床時刻、総睡眠時間、睡眠効率など)を改善するにあたって、鍼治療が、1)偽薬またはプラセボ対照(実際の鍼治療を模倣した「偽」の処置)、2)非活動対照(無治療または通常のケア)、3)他の治療(CBT-Iなど)よりも優れているかどうかを知りたかった。
実施したこと
がん患者の不眠症に対して、鍼治療を他の治療法と比較した研究を探した。研究結果を比較して要約し、研究方法や研究規模などに基づいて、エビデンスに対する信頼性を評価した。
わかったこと
計402人が参加した3種類の比較と5件の研究を特定した。参加者のほとんどが乳がんの女性であった。
鍼治療は、偽鍼治療と比較すると、不眠症の重症度を軽減したり、睡眠の質を改善したりする効果はほとんどまたはまったくないかもしれないが、ある種の睡眠日誌パラメータにはわずかな改善をもたらす可能性がある。しかし、これらの結果については非常に不確かである。鍼治療は有害事象のリスクを増加させるかもしれないが、この結果は非常に不確実である。
鍼治療は、不眠症の重症度を軽減し、睡眠の質を高め、睡眠日誌のいくつかのパラメーターを改善するにあたって、非活動対照よりも効果が高い可能性があるものの、有害事象のリスクが高くなる可能性がある。しかし、これらの結果については非常に不確かである。
鍼治療とCBT-Iを比較した試験では、鍼治療はおそらく総睡眠時間を改善するが、不眠症の重症度、睡眠の質、入眠時間、睡眠効率を改善する効果は低い。有害事象への影響はほとんどまたはまったくないかもしれない。
エビデンスの限界
研究が小規模であったり、結果にばらつきがあったりしたため、ほとんどの調査結果には確信が持てない。今後の研究によって、この主題に対する理解が変わる可能性がある。さらに明確で信頼性の高い答えを出すためには、もっと包括的な研究が必要である。
本レビューの更新状況
このエビデンスは2024年1月現在のものである。
《実施組織》阪野正大、ギボンズ京子 翻訳[2026.02.03]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD015177.pub2》
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