世界中のほとんどの人が、毎年1回以上風邪をひく。低所得国を除けば、風邪は人々が抗菌薬を使用する最も大きな理由のひとつであり、鼻からの粘液が着色している場合はなおさらである(急性化膿性鼻炎)。しかし、一般的な風邪はウイルスが原因で、抗菌薬が効かない。また、抗菌薬は副作用を引き起こす可能性があり、特に下痢を引き起こすことがある。抗菌薬の使い過ぎは、細菌が抗菌薬に耐性を持つことにつながる。
風邪に抗菌薬が効くかどうかを調べるために、抗菌薬を服用するグループと、抗菌薬を含まないが似たような薬(プラセボ)を服用するグループを比較した研究を特定した。風邪に関する研究が6件(1,047人の参加者)、急性化膿性鼻炎に関する研究が5件(791人の参加者)であった。多くの研究には結果にバイアスが生じる可能性のある欠陥があった。特に、参加者の多くが研究者が把握していなかった胸部や副鼻腔の感染症に罹患していた可能性があるためである。
抗菌薬は風邪にも急性化膿性鼻炎にも効かず、多くの人が抗菌薬の副作用に悩まされていることが示唆された。
《実施組織》阪野正大、杉山伸子 翻訳[2025.12.01]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD000247.pub4》
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