要点
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症状を消失させる(寛解)には、ウステキヌマブはプラセボ(偽治療)よりもやや効果が大きい。アダリムマブと免疫調節薬の併用、グセルクマブ、ウパダシチニブは、おそらくプラセボよりもやや効果が大きいが、ベドリズマブとナタリズマブはおそらくプラセボとほとんど差がない。
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寛解から1、2年以内に症状が再発するのを防ぐ(病気の再燃を防ぐ)には、アダリムマブはおそらくプラセボよりもやや効果が大きい。
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短期的には(約1年)、副作用ゆえにウパダシチニブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブによる治療を中断する人の数は、おそらくプラセボの場合と同程度である。バイオ医薬品の長期的な副作用については、既存のエビデンスを基に確かな判断を下すことはできない。
クローン病とは
クローン病は生涯にわたる(慢性の)炎症性疾患で、消化管のどの部分にも発生しうる。よくある症状としては、血便、下痢、胃の痛み、発熱、体重減少、疲労感その他がある。クローン病の症状が出ていることを「活動期にある」と言い、症状が抑えられていることを「寛解期にある」と言う。実際、何がクローン病を引き起こすのか、よくわかっていないが、遺伝子、免疫系の異常、「悪玉」腸内菌、そして環境的要因が複合的に関与している可能性がある。根治療法は知られていないが、通常、ステロイド剤や免疫調節薬などの薬剤、また必要ならば手術によって、症状を管理する。
バイオ医薬品とは何か?
世紀の変わり目に、バイオ医薬品(または先進治療薬)と呼ばれる新しい種類の薬剤が使用できるようになり、クローン病の治療に広く使われるようになった。これらは従来の治療法と異なり、免疫系の構成部分をより特異的に標的とする新しい治療薬で、有効性がより高く副作用も少ないと考えられている。バイオ医薬品は静脈内投与(静脈注射)、皮下投与、また場合によっては経口投与が可能である。
知りたかったこと
現在使用されている(または試験済みの)バイオ医薬品(免疫系の特定の部分を標的とする薬)または先進治療薬は、いずれもクローン病の治療に使用できるか、副作用があるか、また、それぞれを比べた場合の優劣を調べたいと考えた。探した情報は、いずれかの薬剤を用いると、症状が消失したり、軽くなったり、大腸内視鏡検査(大腸の内部を調べる検査)で消化管が治癒したように見えるようになったりするかどうか、また、これらの薬剤には短期的(1~2年まで)・長期的(2年以上)な副作用があるどうかである。
実施したこと
クローン病を患う成人の治療において、バイオ医薬品をなんらかの医療処置またはプラセボ(偽治療)と比較した研究を探した。研究の参加者の性別は限定しなかった。また、クローン病を発症してからの期間、クローン病に対してなんらかの薬剤を使用したことがあるかも問わなかった。結果をまとめ、研究のデザインと実施の方法に基づき、その結果に対する信頼度を評価した。
わかったこと
27,476人(ほぼ男女同数)が参加した94件の研究をレビューに含めた。参加者の多くは30~40歳前後だったが、中には10代後半の青年から60代の年配者までいた。寛解導入の研究では、参加者の重症度は中等度から重度だった。寛解維持の研究では、参加者の一部はすでに寛解期にあったが、一部はそれまでの治療が奏功しているとはいえ、まだ症状が残っていた。期間は、大半の寛解導入の研究で3~6ヵ月、寛解維持の研究では約1年だった。
主な結果
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寛解導入の研究は66件(参加者20,653人)あり、寛解維持の研究は22件(参加者6,823人)あった。
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症状を消失させる(寛解)には、ウステキヌマブはプラセボ(偽治療)よりもやや効果が大きい。アダリムマブと免疫調節薬の併用、グセルクマブ、ウパダシチニブは、おそらくプラセボよりもやや効果が大きいが、ベドリズマブとナタリズマブはおそらくプラセボとほとんど差がない。リサンキズマブ、BI695501(アダリムマブに類似する薬剤)、インフリキシマブと免疫調節薬の併用、フィルゴチニブも有効である可能性があるが、これはあまり確かではない。
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その他の薬は、プラセボ以上に効果があるかどうか不明である。
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寛解から1、2年以内に症状が再発するのを防ぐ(病気の再燃を防ぐ)には、アダリムマブはおそらくプラセボよりもやや効果が大きい。
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短期的には(約1年)、副作用ゆえにウパダシチニブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブによる治療を中断する人の数は、おそらくプラセボの場合と同程度である。リサンキズマブ、セルトリズマブ、フィルゴチニブなど、それ以外の薬もプラセボと同様かもしれないが、あまり確かではない。
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バイオ医薬品の長期的な副作用については、既存のエビデンスを基に確かな判断を下すことはできない。
エビデンスの限界
レビューの対象に含めた研究には、バイオ医薬品または先進治療薬を以前使用したことがあるかどうか、病気の重症度、他の治療を併用しているかどうかなどについて、非常に異なる特徴をもつ人々が混ざって参加していた。研究を通じてこれらの特徴が同様でないと、結果を信頼するのは難しい。
入手した情報は主に臨床症状で、大腸内視鏡検査または顕微鏡検査の情報は限られていた。また、レビューに含めた研究が実施された条件と、そこで採用された方法にいくつかの問題点があった。
本レビューの更新状況
本レビューは2025年6月までのものである。
《実施組織》橋本早苗 翻訳、井上円加 監訳[2026.09.05]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012751.pub2》
このコクランレビューは、元々は英語で作成されました。翻訳の正確性は、当該翻訳を担当した翻訳チームが責任を負います。質の高い翻訳を保証するため、この翻訳は細心の注意を払って作成され、標準的なプロセスに従って行われています。ただし、不一致、不明確または不適切な翻訳の場合、英語の原文が優先されます。




