妊娠前のライフスタイル(生活習慣)に関するアドバイスは、不妊症の人が赤ちゃんを授かるのに役立つか?

背景
不妊症は、個人、家族だけでなく、より広いコミュニティに大きな重荷となり、世界で4,500万組以上のカップルに影響を与えている。不妊症の治療は幅広く、不妊症の啓発やライフスタイル(生活習慣)に関するアドバイス(体重、食生活、身体活動、喫煙などに関するカウンセリング)などの簡単な介入から、体外受精(IVF)などの複雑な生殖補助技術を用いた治療もある。体重、食生活、身体活動、喫煙などの生活習慣は、不妊症や不妊症の人が赤ちゃんを授かる可能性に影響を与えることがある。しかし、妊娠前の生活習慣にどのようなアドバイスをすべきかというガイドラインは不足している。

コクラン・レビューを行った理由
我々は不妊症の人を対象に、妊娠前のライフスタイル(生活習慣)に関するアドバイスを、日常的なケアや注意喚起(ライフスタイルに関するアドバイスを伴わない治療アドバイスなど)と比較して、その効果を調べたいと考えた。

方法
不妊症の人への妊娠前のライフスタイル(生活習慣)に関するアドバイスを、日常的なケアや注意喚起と比較したランダム化比較試験を検索した。

不妊症の人にどのような妊娠前のライフスタイルのアドバイスをすべきか、赤ちゃんを授かる可能性を高めるためのライフスタイルの改善にどの程度効果があるのか、また、望ましくない効果はないのかを調べることに関心を持った。

検索期間
2021年1月14日までに発表されたエビデンスを対象とした。

結果
不妊症の人2130人を対象とした7件の研究が見つかった。また、男性のパートナーを対象とした研究は1件だけであった。研究は、カナダ、イラン、オランダ、英国、米国で行われた。3件の研究では、いくつかのトピックを組み合わせた妊娠前のライフスタイル(生活習慣)に関するアドバイスを、日常的なケアや注意喚起と比較した。4件の研究では、不妊症で特定のライフスタイルの特徴を持つ女性を対象に、1つのテーマ(体重、アルコール摂取量、喫煙)に関する妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスと日常的なケアを比較した。

主な結果

いくつかのトピックを組み合わせた妊娠前のライフスタイル(生活習慣)に関するアドバイスと、日常的なケアや注意喚起との比較
妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスは、出生率に影響を与えない可能性がある。エビデンスによると、日常的なケアや注意喚起を受けている人の生児出産率が48%と仮定した場合、妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスを受けた場合の生児出産率は38~53%になる。いくつかのトピックを組み合わせた妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスが、女性のBMI(体格指数)、男女の野菜摂取量、男性の禁酒・禁煙といったライフスタイルの行動変化に影響を与えるかどうかは不明である。妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスは、女性の葉酸サプリメントの適切な使用、禁酒、禁煙に影響を与えない可能性がある。エビデンスによると、女性の十分な葉酸サプリメントの使用率が、日常的なケアや注意喚起を受けている人の場合は93%と仮定した場合、妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスを受けている場合の十分な葉酸サプリメントの使用率は89~94%になると考えられている。また、日常的なケアや注意喚起で75%の女性がアルコールを控えると仮定した場合、妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスを受けると、74~88%の女性がアルコールを控えることになるというエビデンスもある。日常的なケアや注意喚起を受けている女性の95%が禁煙すると仮定すると、妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスを受けている女性の93~99%が禁煙する。その他の行動の変化について報告した研究はなかった。

体重に対する妊娠前のライフスタイル(生活習慣)に関するアドバイスと日常的なケアとの比較
不妊症で肥満の女性において、体重に対する妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスが、生児出産や有害事象(妊娠糖尿病や高血圧症など)、流産に影響するかどうかは不明である。行動の変化については、体重に対する妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスはBMIをわずかに低下させる可能性があるが、他の行動の変化(体重減少率、野菜と果物の摂取量、アルコール摂取量、中等度から活発な身体活動の総量)に影響を与えるかどうかは不明である。その他の行動の変化について報告した研究はなかった。

アルコール摂取に対する妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスと日常的なケアとの比較
不妊症のリスクがある飲酒女性において、アルコール摂取量に対する妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスが生児出産や流産に影響するかどうかは不明である。1件の研究では、アルコール摂取量の行動上の変化が報告されているが、レビューの方法で定義されたものではない。その他の結果について報告した研究はなかった。

喫煙に対する妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスと日常的なケアとの比較
喫煙する不妊女性を対象とした、禁煙のための行動変容に焦点を当てた妊娠前のライフスタイルに関するアドバイスについて報告した研究が1件あったが、レビューの方法で定義されたものではなかった。その他の結果について報告した研究はなかった。

エビデンスの質
エビデンスの質は低いか非常に低かった。エビデンスの主な限界は、含まれる研究における研究方法の不備(盲検化の欠如)と、出生数、安全性のアウトカム、および報告された行動の変化に関する知見の欠如(精度の欠如)であった。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2021.06.22]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD008189.pub3》

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