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リスクが低い子宮内膜癌や子宮内膜異型増殖症(子宮内膜癌の前癌病変)がある女性が、妊娠を望んだ場合、どのような治療の選択肢があるか?

要点

- 子宮内膜癌と子宮内膜異型増殖症(前癌病変)に対する妊孕性(妊娠する能力)を温存する治療法として、さまざまな治療法があることがわかった。しかし、どの治療法が最も効果的なのか、どんな方法で治療するのが最もいいのかについては、わかっていない。

- プロゲスチン(卵巣が出す黄体ホルモンに似た合成ホルモン)による治療にメトホルミンを加えることは、子宮内膜癌や子宮内膜異型増殖症の治療に役立つであろう。レボノルゲストレル子宮内システム(長期にレボノルゲストレルというプロゲスチンを放出する器具)は、プロゲスチンの飲み薬と比べて、好ましくない影響が少なく、同等の効果が得られるため、より有効かもしれない。

- さまざまな治療法を評価し、比べるためには、もっときちんとデザインされた研究が必要である。

子宮内膜癌と子宮内膜異型増殖症とは?

子宮内膜癌は、子宮の内膜にできるがん(子宮体がん)である。世界で6番目に多いがんで、高所得国では4番目に多く、増加傾向にある。子宮内膜異型増殖症とは、子宮の内膜に異常な細胞が増殖する状態で、子宮内膜癌の前癌病変である。治療しなければ、子宮内膜癌に発展する可能性がある。晩産化と肥満率の増加は、どちらもこれらの癌や前癌病変の危険因子である。子宮内膜癌や子宮内膜異型増殖症に対する最も効果的な治療は、手術で子宮を摘出することである。子宮内膜癌や前癌病変は閉経後に多く見られるが、25%くらいは若い女性で発生する。つまり、妊娠を希望しているのに、がんと診断される女性が増えている。このため、妊孕性を温存する治療を検討したいと考える女性が増えている。

通常、プロゲスチンによる治療が勧められる。さらに、メトホルミン(糖尿病の治療薬)や肥満手術(肥満に対する手術)、子宮鏡下内膜掻把術(腟から細いカメラと特殊な器具を挿入し、異常な組織を取り除く手術)といった他の治療法も現在研究されている。しかしながら、最もよい治療法は依然として不明である。

知りたかったこと

どの治療法が子宮内膜癌や前癌病変に有効なのか、また、女性の妊孕性を維持するためにも有効なのかを調べたかった。

実施したこと

子宮内膜癌および前癌病変に対する治療で、妊孕性の温存も目的とした研究を検索した。さまざまな薬、手術、減量プログラムなど、あらゆる治療法を対象とした。女性の全生存期間、何人の女性が出産したか(生児出産率)、何人の女性が癌の再発なしに生存したか、何人の女性が完全に回復したか(病理学的完全奏効率)、治療による重篤な好ましくない影響、心理的症状や生活の質(QOL)への影響の有無、何人の女性が妊娠したか、何人の女性が治療がうまくいかず最終的に子宮摘出術を必要としたかについて、さまざまな治療の効果を知りたいと考えた。研究の結果を要約・比較し、研究の方法や規模などの要因に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。

わかったこと

904人の女性を対象とした12件の研究が見つかった。これらには、女性を複数の治療法に無作為に割り付けた6件の研究と、無作為に割り付けなかった6件の研究が含まれていた。

主な結果

メトホルミンとプロゲスチンの併用は、プロゲスチン単独と比べて 、完全奏効率(治療後に検出可能ながんがないこと)をわずかに増やすかもしれない。生児出産や、疾患が持続・進行したために手術が必要になる可能性はほとんど変わらないかもしれない。重篤な副作用は報告されていない。女性の全生存期間や、病気が再発するまでの生存期間、QOLへの影響については情報がない。

子宮内レボノルゲストレル放出システムは、プロゲスチンを長期間放出する小さな器具で子宮の中に挿入して使う。これは、プロゲスチンの飲み薬と比べて、完全奏効率は変わらないかもしれない。体重増加などの好ましくない影響は減るかもしれない。この器具による治療は、女性にとって継続しやすいかもしれない。その他の結果については情報がない。

プロゲスチンの飲み薬に子宮内レボノルゲストレル放出システムを追加しても、生存率、生児出産率、治癒率、QOL、将来の手術の必要性に違いはないかもしれない。また、好ましくない影響を増加させることもないようだ。

エビデンスの限界

いくつかの理由から、エビデンスの確実性は低い。第一に、女性が治療法に無作為に割り付けていない研究がいくつかあった。つまり、比較群の違いが、治療法の違いではなく、割り付けられた女性間の違いによるものである可能性がある。第二に、いくつかのエビデンスは、肥満女性など特定の女性集団に焦点を当てたものであった。最後に、いくつかの研究は非常に小規模なものであった。したがって、さらなる研究によって、これらの結果が変わったり、確実視されるようになったりするだろう。

このレビューの更新状況

エビデンスは、2025年2月3日現在のものである。

訳注

《実施組織》杉山伸子、小林絵里子 翻訳[2025.12.25]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013111.pub2》

Citation
Fernandez-Montoli M-E, Sabadell J, Contreras Perez NA, Verdaguer Menéndez-Arango P, Julia Torres C, Lleberia J. Fertility-sparing treatment for atypical endometrial hyperplasia and endometrial cancer. Cochrane Database of Systematic Reviews 2025, Issue 7. Art. No.: CD013111. DOI: 10.1002/14651858.CD013111.pub2.

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