早産児の壊死性腸炎予防のためのプレバイオティクス

レビューの論点
超早産児や超低出生体重児にプレバイオティクスを投与すると壊死性腸炎を予防できるか?

背景
超早産児(予定日より8週以上早く生まれた児)および超低出生体重児(1.5kg未満で生まれた児)は、腸の粘膜の一部が炎症を起こして死に至る重篤な疾患である壊死性腸炎を発症するリスク(危険)がある。この疾患は、死亡、重篤な感染症、長期にわたる障害や発達障害を伴う。壊死性腸炎を予防する1つの方法として、プレバイオティクス(健康な「プロバイオティクス」細菌による腸内コロニー形成をサポートする難消化性の糖鎖)をミルクに添加することが考えられる。

実施したこと

超早産児または超低出生体重児の壊死性腸炎のリスクに対するプレバイオティクスの効果を調べた試験を検索した。試験結果を比較・要約し、試験方法や規模などの要因に基づいて、科学的根拠(エビデンス)の確実性を評価した。

わかったこと
合計705乳児例を対象とした6試験を同定した。臨床試験はほとんどが小規模で、ほとんどにデザイン上の欠陥があり、結果にバイアスが生じている可能性がある。

主要な結果
複合解析の結果、超早産児や超低出生体重児にプレバイオティクスを投与しても、壊死性腸炎や死亡、重篤な感染症のリスクにはほとんどまたは全く差がないかもしれないが、そのエビデンスの確実性は低い。1件の試験で障害や発達のアウトカムへの影響を評価しているが、このエビデンスの確実性は非常に低い。

エビデンスの限界は?
壊死性腸炎、死亡、重篤な感染症に対する有用性に関するエビデンスの確実性は低い(また、障害や発達のアウトカムに対する有用性については、確実性は非常に低い)。これは、本レビューに含まれる試験で使用された方法には、プレバイオティクス補給の有益性を誇張するバイアスがあるかもしれないこと、およびいくつかの有用性の推定値が不正確であることが懸念されるためである。

本エビデンスの更新状況

本エビデンスは2022年7月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2023. 10.31] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD015133.pub2】

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