COVID-19の診断のために、医療従事者の訪問(臨床現場ですぐに行われる)時に実施される迅速検査はどの程度正確か?

なぜこの論点が重要か?

COVID-19の疑いがある人は、自主隔離したり、治療を受けたり、濃厚接触した人に知らせるために、COVID-19に感染しているかどうかをすぐに知る必要がある。現在、COVID-19の感染は、鼻や喉から採取したサンプルを送り、検査室で検査することで確認されている。RT-PCRと呼ばれる検査室で行われる検査は、専門の機器を必要とし、何度も医療機関を受診する必要があり、結果が出るまでに通常は少なくとも24時間かかる。

臨床現場で行われる迅速に検査では、「待っている間」に結果を出すことができ、理想的にはサンプルを提供してから2時間以内に結果を出すことができる。これにより、人々が早期に自主隔離し、感染の拡大を抑えることができるかもしれない。

私たちは何を知りたかったのか?

抗原検査と分子検査の2種類の臨床現場で行われる迅速検査に興味を抱いた。抗原検査では、多くの場合、使い捨ての装置を使用してウイルス上のタンパク質を識別する。分子検査では、小型の携帯型または卓上型の装置を使用してウイルスの遺伝物質を検出する。どちらもRT-PCR検査と同じ鼻や喉のサンプルを検査する。

私たちは、臨床現場で行われる迅速抗原検査や迅速分子検査が、感染症診断のために行われるRT-PCR検査に取って代わるほど正確なのか、あるいは陰性の場合にはさらに検査を行う人を選択するのかを知りたいと考えた。

実施したこと

現在のCOVID-19感染を検出するためのRT-PCR検査と比較して、臨床現場で行われる迅速検査の精度を測定した研究を探した。研究では、参照標準となる検査と比較して、臨床現場で行われる迅速抗原検査または迅速分子検査を評価することができる。参照基準となる検査は感染症診断のための最良の方法であり、我々はRT-PCR検査結果と臨床的に定義されたCOVID-19を参照基準の検査とした。病院でも地域でも検査を受けることができた。研究では、症状のある人もない人もテストを受けることができた。

検査には最低限の機器を使用し、サンプルからの感染の危険性がなく安全に実施され、サンプルを採取してから2時間以内に結果が出るようにする必要があった。検査は、小規模な検査室でも、患者がいる場所(プライマリケア、緊急治療施設、病院)でも使用することができた。

研究はどのようにして診断テストの精度を評価したか?

研究では、臨床現場で参加者は迅速検査を受けていた。参加者は、すべての研究においてRT-PCRにより、COVID-19を有するものとそうでないものに分類された。その後、研究では、RT-PCRと比較して、臨床で行われる迅速検査の結果に偽陽性と偽陰性のエラーが確認された。偽陽性はCOVID-19が存在しないときに誤ってCOVID-19と判断してしまい、不必要な自主隔離と追加の検査につながる可能性がある。偽陰性はCOVID-19が存在していたときに見逃し、自主隔離と治療の遅れ、感染の拡大を招く危険性がある。

検索結果

関連する研究が18件見つかった。研究は北米で10回、欧州で4回、南米で2回、中国で1回、複数の国で1回行われた。

9件の研究では、意図的にCOVID-19が確認された人の割合を高くしたり、COVID-19の人だけを含めたりしていた。14件の研究では、検査のためにサンプルを提供した人についての情報が提供されておらず、12件の研究では検査を受けた場所についての情報が提供されていなかった。

報告された研究のいずれも、症状のない人からのサンプルを含んでいなかった。

主な結果

5つの研究では、5種類の抗原検査の8つの評価が報告されていた。全体的にCOVID-19の感染を検出する抗原検査の結果にはかなりのばらつきがあった.検査では、1%未満の検体で偽陽性の結果が得られた。

4つの異なる分子検査の13の研究で、COVID-19に感染したもののうち平均して95%のサンプルを正しく検出したと評価された。約1%のサンプルで偽陽性の結果が出た。

1000人が分子検査をしていて、そのうち100人(10%)が本当にCOVID-19を持っていたとする。

- 105人がCOVID-19に陽性反応を示すことが示唆される。このうち、10人(10%)は実際にはCOVID-19に感染していないだろう(偽陽性の結果)。

- 895人がCOVID-19に陰性反応を示すことが示唆される。このうち、5人(1%)は実際にはCOVID-19に感染しているだろう(偽陰性の結果)。

我々は、最も一般的に評価されている2つの分子検査の間でCOVID-19の検出に大きながあることを指摘した。

レビューの研究結果はどれくらい信頼できるか?

いくつかの理由から、私たちのエビデンスへの信頼性は限定される。

- 研究の4分の3は試験メーカーの指示に従っていなかった、従っていれば異なる結果が得られたかもしれない。

- 研究では、最も信頼性の高い方法を用いていなかったり、用いられた方法を判断するのに十分な情報を報告していなかったりすることがよくある。これは検査結果の正確性に影響しているのかもしれないが、どの程度影響したかを識別することはできない。

- 4分の1の研究が「プレプリント」として早期にオンラインで公開され、レビューに含まれている。プレプリントは、出版された研究に対する通常の厳密なチェックを受けていないため、どの程度信頼性があるのかはわからない。

このレビューは何を示唆するのか?

研究では参加者に関する情報がほとんど提供されていなかったため、症状のない人、症状が軽い人、COVID-19で入院していた人に結果が適用できるかどうかはわからない。正確な迅速検査は、RT-PCR検査のために人を選択したり、RT-PCRが利用できない場合に使用される可能性がある。しかし、現在のところエビデンスは十分ではなく、これらの検査が実際に使用するのに十分かどうかを判断するためには、より多くの研究が緊急に必要とされている。

本レビューの更新状況

このレビューには、2020年5月25日まで公表されたエビデンスが含まれている。この分野では新しい研究が発表されているので、このレビューは近日中に更新する。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大 翻訳、井村春樹 監訳 [2020.8.28] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013705》

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