肺炎の予防と治療のためのビタミンC補給

レビューの論点

成人と小児において、肺炎の予防および治療を目的としたビタミンC補給の役割を、補給しない場合と比較する。

背景

肺炎は、ウイルス、細菌、真菌により引き起こされる胸部感染症である。ビタミンCは免疫系に関与するため、その補給は小児および成人で肺炎の予防と治療に重要となり得る。肺炎の予防と治療におけるビタミンCの役割を評価した。

検索期間

2020年3月4日までの文献を検索した。

研究の特徴

5つの研究と2件の進行中の研究を対象とした。5件の研究には計2,655人が参加し、1つの高所得国(米国)および2つの低中所得国(バングラデシュ、パキスタン)で実施された。3件の研究は病院、1件は学校、1件は軍事訓練センターで行われた。3件の研究に5歳未満の小児が含まれ、1件に学齢期の子供が、1件に成人の参加者が含まれていた。2件の研究が肺炎予防におけるビタミンC補給の効果を、3件の研究は肺炎治療におけるビタミンC補給の効果を評価した。ビタミンCの用量は、125 mg、200 mg、1 g、および2 gであった。

研究の資金源

2件の研究が製薬会社からの資金提供を受けていた。3件の研究は資金提供元について報告されていなかった。

主な結果

肺炎予防のためのビタミンCについて、肺炎の割合(発生率)、一般的な肺炎の頻度(有病率)、肺炎による死亡数(死亡率)、意図しない有害な結果(副作用)を評価した。肺炎予防のためのビタミンCについて、1件の研究(674人)のみが発生率を報告し、1件の研究で副作用(じんましん)が1件報告された。有病率または死亡率について報告した研究はなかった。エビデンスが不十分であったため、肺炎予防のためのビタミンCの効果を判定することはできなかった。

肺炎治療のためのビタミンC服用に関しても、人々が病気に罹っていた期間(罹病期間)、何人が治癒したか、死亡率、副作用を評価した。罹病期間を報告した研究は1件のみだった。治癒率や副作用に関する報告はなかった。エビデンスが不十分だったため、肺炎治療のためのビタミンCの効果を判定することはできなかった。

エビデンスの確実性

扱った研究のバイアスリスクは高いか不明と考えられる。研究の限界、研究間のばらつき、サンプルサイズの小ささや推定値の不確実性から、エビデンスの質は非常に低いと評価された。

訳注: 

《実施組織》加藤仁美 翻訳、阪野正大 監訳[2021.12.19] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。  《CD013134.pub3》

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