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中心性漿液性脈絡網膜症(central serous chorioretinopathy:CSC)に対するさまざまな治療法のベネフィット(有益性)とリスク(危険)は?

要点

- 中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)の治療において、他の治療法より優れている治療法は示されなかった。

- CSCに対する治療のベネフィット(有益性)と潜在的有害性を評価するためには、より大規模で質の高い研究が必要である。

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)とは何か、その治療法は?
CSCは眼底(目の奥)の疾患である。脈絡膜(眼球の白目部分である胸膜と眼球の後部にある神経組織の層である網膜との間に位置する薄い組織層)の血管から水分がにじみ出て、その結果、水分が周囲の組織に溜まり、網膜の中心部分である黄斑が剥離する。CSCは、若年および中年成人、特に男性に多く発症する。視力低下につながることもある。CSCを発症した人のほとんどは自然に回復するが、一部の人は問題を抱え続け、視力を恒久的に失うこともある。CSCの治療法としては、レーザー治療、内服薬、眼底の水分を減らすための生物学的製剤の注射など、さまざまな治療が提案されている。

知りたかったこと
どのような治療法があるのか、また、それぞれの治療法を比較して、CSC患者の治療法としてどの治療法が他の治療法よりも優れていて安全なのかを検証したいと考えた。

実施したこと
CSCに対するすべての治療法を検討した研究を検索した。研究結果を比較して要約し、研究方法や研究の規模などの要素に基づいて、エビデンス(科学的根拠)に対する信頼性を評価した。

わかったこと
ヨーロッパ、北米、南米、中東、アジアから、合計4015例が登録された67件の研究が同定された。登録された参加者の年齢はほぼ同様であり、ほとんどが男性であった。参加者の疾患重症度や罹病期間はさまざまであった。ほとんどの研究(28件、42%)は資金源を報告していなかったが、8件が産業界からの資金提供、21件が産業界以外からの資金提供を受けており、10件はどこからも資金提供を受けていなかった。これらの研究では、さまざまな治療法が検討されていたが、有効性にはほとんど差がなかった。治療の有効性について良好なエビデンス(科学的証拠)を示すのに十分な研究が、どの治療法についてもされていないことがわかった。3種類の介入(低用量光線力学療法、サプリメント、エプレネロン[eplenerone])は有用な治療法かもしれないが、エビデンスは不確かであり、他の治療法よりも優れているというエビデンスはない。重篤な有害性は、上記研究では報告されていない。

エビデンスの限界
大規模研究がほとんど見つからなかったこと、また今回注目したデータをすべての研究が提供しているわけではないことから、エビデンスに対する信頼性は低い。この研究結果は、今後報告される研究が、本レビューで現在示されている結論に重要な影響を与える可能性が非常に高いことを示している。

本エビデンスの更新状況
エビデンスは2024年3月現在のものである。

訳注

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.mhlw.go.jp/)[2025.08.04] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD011841.pub3】

Citation
Lange CAK, Qureshi R, Pauleikhoff L. Interventions for central serous chorioretinopathy: a network meta-analysis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2025, Issue 6. Art. No.: CD011841. DOI: 10.1002/14651858.CD011841.pub3.

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