進行子宮頸癌に対する血管形成抑制

このレビューの目的
このコクランレビューの目的は、新しい血管の形成を抑制する血管内皮細胞増殖因子(VEGF)標的薬が、離れた部位に広がったり(転移)、初回治療に反応しなかったり、再発したりした子宮頸癌の女性の生存率を改善できるかを調べることである。これらの薬剤にはベバシズマブ、セジラニブ、アパチニブ、パゾパニブ、アンロチニブ、ニンテダニブが含まれる。

要点
ベバシズマブと化学療法の併用はおそらく生存率を改善させ、また消化管穿孔、血管内での血栓形成(血栓塞栓症)、高血圧症、出血などの特異的かつ重篤な有害事象を増加させる可能性がある。

セジラニブまたはアパチニブと化学療法の併用、 または パゾパニブ単独では、生存率にはまったく、あるいはほとんど差がない可能性がある。パゾパニブとラパチニブの併用は生存率を低下させる可能性がある。

レビューの主な結果
選択基準を満たす、808例を含む4件のランダム化比較試験(RCT)が同定された。

ベバシズマブと化学療法の併用と、化学療法単独とを比較した452例を含む1件の試験を同定した。ベバシズマブは全生存率をおそらく改善させ、特異的・重篤な有害事象を増加させる可能性がある。

2つ目の研究では69例を対象に、セジラニブと化学療法の併用と、化学療法単独を比較していた。セジラニブは生存率にはほとんどあるいはまったく差がなく、特異的・重篤な有害事象を増加させるかも不明であった。

59例のデータを報告した別の研究では、アパチニブと化学療法またはアパチニブと化学放射線療法(化学療法と放射線療法の同時併用)と、化学療法または化学放射線療法のみとを比較していた。アパチニブは生存率にはほとんどあるいはまったく差がなかったが、無増悪生存期間には有望な有効性を示した。

228例を対象としたパゾパニブとラパチニブの併用とラパチニブ単剤を比較、またはパゾパニブとラパチニブを比較した1件の研究を同定した:パゾパニブとラパチニブの併用は生存率を低下させる可能性があり、高血圧症を増加させる可能性がある;パゾパニブ単体は生存率にはほとんどあるいはまったく差がなく、高血圧症を増加させる可能性がある。

それぞれの比較対象には1件の研究しかなく、ほとんどの研究は小規模であったために、全体のエビデンスの質(確実性)は低かった。

訳注: 

《実施組織》内藤未帆、杉山伸子 翻訳[2021.04.09]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD13348.pub2》

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