心血管疾患予防のための服薬アドヒアランスを支援するために携帯電話で配信される介入

レビューの論点

心血管疾患(例えば、心臓発作や脳卒中など)を予防するための服薬時に、携帯電話から配信される介入の効果に関するエビデンス(根拠)をまとめた。

背景

毎年約1760万人が心血管疾患で亡くなっている。薬物療法は心血管疾患の予防に役立つことがあるが、これらの薬を投与されている人の多くは、推奨されているほど頻繁には、あるいは常に服用していない。つまり、心血管疾患を予防できるほどには、薬が効かないということである。携帯電話を使った介入、例えばテキストメッセージによる催促などは、人々が推奨された通りに薬を服用できるようにするための低コストの方法であるかもしれない。

研究の特徴

エビデンスは2020年1月までのものである。少なくとも部分的に携帯電話を利用した介入を検証し、少なくとも12ヶ月間参加者を追跡調査した研究が14件見つかった。

主要な結果

介入内容が大きく異なるため、ほとんどの試験の結果を統合することができなかった。2件の研究はバイアスのリスクが低く、12件の研究はバイアスのリスクが高かった。介入の効果が研究間で一貫していなかったため、それらの研究の結果については確信が持てない。血圧の自己測定と携帯電話による遠隔医療サポートは、血圧コントロールを改善する可能性があるが、試験にはバイアスのリスクがあるため、調査結果に確信は持てない。テキストメッセージによる介入だけでは、血圧コントロールにほとんど、あるいは全く効果がないかもしれない。テキストメッセージと臨床医のトレーニングまたは臨床医の意思決定支援(追加機能の有無にかかわらず)を含む介入は、血圧またはコレステロールにほとんどまたは全く影響しない可能性がある。テキストメッセージやサービス提供者によるサポート(他の機能の有無にかかわらず)を含む介入の効果は、研究によって一貫性がなかったため、その結果については確信が持てなかった。患者さんが持っているアプリや、サービス提供者のサポートが加わったアプリの効果については不明である。携帯電話を使った介入は、人々の服薬を助けるかもしれないが、その効果は小さいか控えめである。いくつかの試験では、介入が有益な効果をもたらさないことがわかった。これらの種類の介入が害をもたらすことを示唆するエビデンスはなかった。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大 榛葉有希 翻訳[2021.10.02]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012675.pub3》

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