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体外受精を受ける女性において、胚移植の前処置にはどのような効果があるか

以下の言語でもご利用いただけます

主なメッセージ

  • 膀胱を充満させたり、子宮頸部から粘液を取り除いたり、あるいはアフターローディング(子宮内にカテーテルを挿入した後、そのカテーテルに胚を充填すること)を行ったりすることが、妊娠の可能性を高める効果があるかは不明であり、望ましくない影響についてもほとんど報告されていなかった。

  • 胚移植の前処置の効果に関するエビデンスの信頼性を高めるためには、さらに大規模かつ適切に設計された研究が必要である。

体外受精および胚移植とは何か

体外受精(IVF)は不妊治療のひとつである。培養室で卵子と精子を受精させ、できた胚を子宮に移植して、通常通り発育させる。胚は、腟からチューブ(カテーテル)を入れて、子宮頸部を通して子宮内に移植される。これは体外受精の過程における最後の段階であり、問題が生じる可能性が最も高い。妊娠に至るのは1/3に過ぎない。

胚移植の成功率を上げるために、臨床医はさまざまな方法を使う。例えば、女性の膀胱が充満している状態や、医師が子宮頸管粘液を取り除いた場合には、カテーテルの挿入が容易になる可能性がある。使用するカテーテルの種類によっては、まずカテーテルを留置してから胚をカテーテル内に挿入する方法(「アフターローディング」と呼ばれる)、あるいは練習として手順を一度行っておくことも、役立つ場合がある。

知りたかったこと

我々は、胚移植の前処置が、出生率、有害事象、妊娠率、流産率、および移植の難易度に及ぼす影響を明らかにしたいと考えた。

実施したこと

体外受精(IVF)を受ける不妊症の女性を対象に、胚移植の前処置を行う場合と行わない場合を比較した研究を検索した。研究結果を比較して要約し、研究方法や規模などの要素から、エビデンスの信頼性を評価した。

わかったこと

胚移植を受けていた不妊症の女性計2,524名を対象とした11件の研究を特定した。これらの研究は、カナダ、米国、アルゼンチン、ブラジル、ベルギー、ギリシャ、イタリア、オランダ、スペイン、英国、トルコ、および日本で実施された。これらの研究のうち6件は、以下の前処置を調査した:

  • 膀胱を充満させる;

  • 頸管粘液を取り除く;

  • アフターローディング。

主な結果

胚移植における充満した膀胱と空の膀胱との比較

膀胱が充満している場合と空の場合とでは、妊娠率、流産率、および胚移植の難易度にどのような影響があるかについては、現時点では不確実である。

  • 生児出産率:報告なし。

  • 妊娠率(2件、273名)

  • 流産率(1件、131名)

  • 移植の難易度(1件、142名)

頸管粘液を除去することと除去しないことの比較

  • 生児出産率:ある研究によると、粘液除去群では220周期あたり52例の出生、粘液除去を行わなかった群では205周期あたり42例の出生が報告された。

  • 妊娠率:妊娠率については、群間で差がほとんどないか、あるいは全くない可能性がある(1件、97名)。別の研究では、粘液除去群では220周期あたり65件の妊娠が、粘液除去を行わなかった群では205周期あたり63件の妊娠が報告された。

  • 流産率:ある研究によると、粘液除去群では220周期中15周期、粘液除去を行わなかった群では205周期中20周期であった。

  • 移植の難易度:報告なし。

アフターローディングと直接移植の比較

  • 生児出産率:報告なし。

  • 妊娠率:妊娠率については、群間で差がほとんどないか、あるいは全くない可能性がある(2件、654人)。

  • 流産率:流産率については、群間で差がほとんどないか、あるいは全くない可能性がある(1件、352名)。

  • 移植の難易度:アフターローディングと直接胚移植が移植の難易度に及ぼす影響については、現時点では非常に不確実である。ある研究では、アフターローディングにより移植の難易度が低下する可能性が報告されている(対象:352名の女性)が、別の研究では、両群とも移植の難易度に差は認められなかったと報告されている。

エビデンスの限界は何か

エビデンスの信頼性は低いか、非常に低い。利用可能な研究は限られており、その大半は小規模で、かつ古いものである。つまり、これらの個々の前処置(例:膀胱充満、粘液除去、アフターローディングなど)のうち、どれが(もしあるとすれば)有効かつ安全であるかは定かではないため、この知見は慎重に解釈すべきである。これらの前処置のいずれかが体外受精(IVF)の成果を真に向上させるかどうかを明らかにし、またそれらの潜在的な副作用をより深く理解するためには、さらなる質の高い研究が必要である。

エビデンスの更新状況

このレビューは2009年に出版されたものを2025年10月に更新したものである。

訳注

訳注《実施組織》内藤未帆、杉山伸子 翻訳[2026.08.22]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007682.pub3》このコクランレビューは、元々は英語で作成されました。翻訳の正確性は、当該翻訳を担当した翻訳チームが責任を負います。質の高い翻訳を保証するため、この翻訳は細心の注意を払って作成され、標準的なプロセスに従って行われています。ただし、不一致、不明確または不適切な翻訳の場合、英語の原文が優先されます。

このコクランレビューは、元々は英語で作成されました。翻訳の正確性は、当該翻訳を担当した翻訳チームが責任を負います。質の高い翻訳を保証するため、この翻訳は細心の注意を払って作成され、標準的なプロセスに従って行われています。ただし、不一致、不明確または不適切な翻訳の場合、英語の原文が優先されます。

Citation
Yamaji N, Akino R, Sasayama K, Yamamoto M, Brown J, Miyamoto S, Noma H, Ota E, Hasegawa T, Farquhar C. Techniques for preparation prior to embryo transfer. Cochrane Database of Systematic Reviews 2026, Issue 8. Art. No.: CD007682. DOI: 10.1002/14651858.CD007682.pub3.

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