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早産児や超低出生体重児に対する集中治療室での明暗周期のある光環境のベネフィット(有益性)とリスクは?

要点

- 早産児に関して、新生児集中治療室(neonatal intensive care unit: NICU)での明暗周期のある光環境が成長、神経系の発達、望ましくない事象 に影響するかどうかは不明である。

- NICUでの明暗周期のある光環境が入院期間を短縮するかどうかは不明である。

- この分野での今後の研究は、NICUでの明暗周期のある光環境が長期的健康に及ぼす影響を評価することに焦点を当てる必要がある。

集中治療室における明暗周期のある光環境とは?

早産児は、体内時計である概日リズムを発達させるための身体システムに関する十分な信号を母親から受け取っていない。早産児は通常、出生後はNICUでケアされるが、そこでは常時高照度の照明が使用されることが多い。このような環境には、明暗周期のような時間固有信号がない。このため、神経系の発達がさらに制限されるかもしれない。明暗周期のある光環境とは、NICUの照明を調整する方法のことで、一般的には、新生児が病院の外で経験する自然な明暗周期を模倣する。

知りたかったこと

私たちは、NICUでの明暗周期のある光環境が新生児の成長、神経系の発達、入院期間、酸素療法の期間、望ましくない副作用に及ぼす利益と害を調べたいと考えた。

実施したこと

NICUにおいて、明暗周期のある光環境とほぼ暗闇または連続的な明るい光の環境を比較検証した研究を検索した。研究結果を比較して要約し、研究方法や研究の規模などの要素に基づいて、エビデンス(科学的根拠)に対する信頼性を評価した。

わかったこと

早産児1633例を対象とした20件の研究が同定された。これらの研究は、NICUにおいて、明暗周期のある光環境とほぼ暗闇または連続的な明るい光の環境を比較したもので、世界各国で実施されていた。

暗闇に近い状態と比べて、明暗周期のある光環境が新生児の成長、神経系の発達、入院期間、酸素療法の期間、望ましくない副作用に影響を及ぼすかどうかは不明である。

連続的な明るい光の環境と比較して、明暗周期のある光環境が新生児の成長、神経系の発達、酸素療法の期間、望ましくない副作用に影響を及ぼすかどうかは不明である。明暗周期のある光環境は入院期間を10日短縮するかもしれないが、この結果について確実性は非常に低い。

エビデンスの限界

これらのエビデンス(科学的根拠)には確信が持てない。なぜなら、十分な乳児数(サンプルサイズ)を対象として適切に実施された研究が不足しているため、結果について確信が持てないからである。すべての研究が本レビューのアウトカムに関するデータを提供していたわけではない。

本エビデンスの更新状況

本レビューは2016年のレビューを更新するものである。本エビデンスは2023年9月現在のものである。

訳注

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.mhlw.go.jp/)[2025.08.04] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD006982.pub5】

Citation
Morag I, Xiao Y-T, Bruschettini M. Cycled light in the intensive care unit for preterm and low birth weight infants. Cochrane Database of Systematic Reviews 2024, Issue 12. Art. No.: CD006982. DOI: 10.1002/14651858.CD006982.pub5.

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