認知症の人が自宅で生活するための個人に合わせた活動

背景

自宅で生活している認知症の人は、やることが少なすぎることが多い。認知症の人が自分の興味や好みに合った活動に参加する機会があれば、生活の質の向上や、落ち着きのなさや攻撃性などの困難な行動の軽減など、プラスの効果が期待できる。

レビューの目的

自宅で生活している認知症の人に、自分の興味に合わせた活動を提供することの効果を調査した。

レビューに含まれる研究

2019年9月に、個人の興味に基づいた活動を提供された自宅で生活する認知症の人や、その活動を提供された家族である介護者(介入群)と、その活動を提供されなかった自宅で生活する認知症の人や、その活動を提供する訓練を受けていない家族である介護者とを比較した試験(対照群)を検索した。

自宅で生活している262人の認知症の人を含む5つの研究が見つかった。調査参加者の平均年齢は71歳から83歳であった。すべての研究はランダム化比較試験であり、参加者は介入群と対照群のいずれかに無作為に割り付けられた。ある研究では、研究グループの参加者は、特定の時間が経過した後に他のグループに移行した(すなわち、対照グループの参加者には活動プログラムが提供され、介入グループの参加者には活動プログラムは提供されなくなった)。参加者は軽度から中等度の認知症で、研究期間は2週間から4ヶ月間であった。

4つの研究では、家族である介護者が個々のケアプランに基づいて活動を提供するように訓練され、1つの研究では参加者に直接活動が提供された。研究において提供された活動は、あまり変化がなかった。2つの研究では、対照群は電話や専門家との個人面談で認知症ケアに関する情報を得ており、3つの研究では対照群は自宅での通常のケアのみを受けていた。試験の質および報告の優良さの程度は試験ごとに異なっており、結果に対する信頼性に影響を及ぼした。

主な結果

個人に合わせた活動を提供することで、困難な行動を改善し、自宅で生活する認知症の人の生活の質をわずかに向上させることができるかもしれないが、認知症の人の抑うつ、感情、受動性、関与(周囲で起こっていることに関与すること)にはほとんど影響がないかもしれない。個人に合わせた活動は、介護者の苦痛をわずかに改善する可能性があるが、介護者の負担、生活の質、うつ状態にはほとんど影響がないかもしれない。有害な影響を調べた研究はなく、有害な影響が発生したと記載された研究はなかった。

結論

自宅で生活する軽度から中等度の認知症の人に活動する時間を提供することは、挑戦的な行動を管理するのに役立ち、生活の質をわずかに向上させる可能性があると結論づけた。

訳注: 

《実施組織》阪野正大、冨成麻帆 翻訳[2020.11.01]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD010515.pub2》

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