網膜色素変性症に対するビタミンAおよび魚油の使用

本レビューの目的
本コクランレビューでは、視力低下の原因となる眼の遺伝性疾患(網膜色素変性症)がある人の視力の持続的悪化を抑制するにあたって、ビタミンAおよび魚油に効果があるかどうか、またその治療が安全かどうかを判断することを目的とした。

要点
網膜色素変性症の患者にビタミン A と魚油のいずれか、またはその両方を摂取すると、視力の持続的な悪化が抑制されるかどうかは、エビデンスの確実性が非常に低いため、不明である。特に、他のビタミンサプリメントを使用しているかどうかにかかわらず、ビタミン A と魚油のいずれか、またはその両方が臨床的アウトカムに影響を及ぼすのかどうかについて情報を得るには、さらに多くの研究が必要である。

本レビューからわかったこと
網膜色素変性症は遺伝性眼疾患の総称であり、徐々に進行しながら視力低下を引き起こす。この眼障害がある人は、暗いところで物が見えにくくなったり、視野に問題が生じるようになったり、ほとんどの場合、徐々に視覚障害が発生する。ビタミン A と魚油のいずれか、またはその両方が、この障害をもつ患者の視力低下の進行を抑えるのに役立つ効果があるのではないかと提案されてきた。

レビューの主な結果
アメリカとカナダで実施された4件の研究(4~55歳の参加者計944例を対象)を同定した。参加者は、遺伝性眼障害のためにビタミンAと魚油のいずれか、またはその両方を摂取し、4年間追跡された。ビタミンAと魚油のいずれか、またはその両方を摂取された群を、ビタミンAと魚油のいずれも摂取していない群と比較した。ビタミンAと魚油のいずれか、またはその両方の群の参加者には、さまざまな期間でさまざまな用量のビタミンAと魚油が摂取されていた。ビタミンAと魚油のいずれも摂取されていない群の参加者には、ビタミンAと魚油のいずれも含まれない錠剤(プラセボ錠)、ビタミンAの含有の有無にかかわらずマルチビタミンのような視力低下の進行を防ぐと考えられる他の治療を投与していたか、あるいは無治療とした。

本レビューから、ビタミン A と魚油のいずれか、またはその両方を摂取することによって、視力低下の進行抑制に差がもたらされるかどうかは確かではないことが明らかである。

本レビューの更新状況
2020年2月7日までに報告された研究を検索した。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2020.12.28] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD008428.pub3》

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