どの程度の頻度で歯科検診をうけたほうがいいのか?

なぜ歯科検診を受けるのか?

歯科検診は、お口の中を健康に保ち、歯に問題がないかどうかを歯科医師が確認するためのものである。これにより、歯科医師は問題があれば早期に対処することができ、さらには問題が発生するのを防ぐことができる。問題を放置しておくと、将来的に治療が難しくなる可能性がある。

検診では何をするのか?

毎回の検診では、歯科医師は通常、以下のことを行う:

- 歯、歯ぐき、口の中の状態の確認をする;

- 全身の健康状態や、前回の検診以降に歯や口、歯ぐきに問題がなかったかを質問する;

- 歯磨きの習慣、食生活、喫煙、飲酒などについてアドバイスをする。

- 必要に応じて、歯の問題に必要な治療を勧める。

検診後、歯科医師は次回の検診日を提案する。従来、検診は半年に一度が推奨されていた。しかし、歯の問題を起こすリスクが高く、より頻繁に検診が必要な人もいれば、それほど頻繁に検診が必要でない人もいる。

コクランレビューを行った理由

半年ごとに検診を受ければ、口の中を健康に保ち、将来的に歯のトラブルを避けることができるかもしれないが、不必要な歯科治療を受けてしまう可能性もある。しかし、検診の回数が少ないと、歯のトラブルが悪化し、治療やケアが難しくなったり、費用がかかったりすることがある。

私たちは、歯科検診の最適な間隔を明らかにしたいと考えた。

実施したこと

検診の間隔が異なるように無作為に割り付けられたランダム化比較試験を検索した。ランダム化比較試験からは、通常、最も信頼できるエビデンスが得られる。

検索日: 2020年1月17日までに公表された研究が含まれた。

わかったこと

定期的に歯科検診を受けている1736人を対象とした2件の研究が見つかった。1件の研究は、ノルウェーの公立歯科医院で、20歳以下を対象に行われた。12ヶ月ごとの検診と24ヶ月ごとの検診を比較し、2年後に結果を測定した。

もう1件の研究は、英国の51の歯科医院の成人を対象としたものであった。6ヵ月ごと、24ヵ月ごと、リスクに応じた検診(歯科医師が歯の病気のリスクに応じて検診の間隔を決める)の3つの方法を比較し、4年後に結果を測定した。

この2つの研究では、検診の間隔の違いがどのように影響するかを調べた:

- 何人の人が虫歯になったか;

- 何本の歯が虫歯に侵されているか;

- 歯周病(歯ぐきの出血部位の割合);

- 健康な歯と歯ぐきを持つことに関連するQOL(生活の質)。

その他の潜在的に望ましくない効果を測定した研究はなかった。

レビューの結果

成人では、4年後の虫歯(虫歯の数)、歯周病、QOLにおいて、6ヶ月ごとの検診とリスクに応じた検診との間にほとんど差がなかった。また、中程度から広範囲の虫歯になった人の数にもほとんど差がなさそうであった。

虫歯(罹患者数、虫歯の数)、歯周病、幸福度において、24ヶ月ごとの検診と6ヶ月ごとの検診、リスクに応じた検診では、ほとんど差がない可能性が高く、中程度から広範囲の虫歯に罹患している人の数にも、ほとんど差がなさそうである。

小児・青少年における12ヵ月ごとの検診と24ヵ月ごとの検診の効果については、2年後の状態について、十分な信頼性のあるエビデンスが得られなかった。これは、研究の方法に問題があったためである。

結果の信頼性は?

成人の場合、虫歯の数、歯周病、生活の質について、6ヶ月ごとの検診とリスクに応じた検診にほとんど差がないと確信している。

24ヶ月ごとの検診、6ヶ月ごとの検診とリスクに応じた検診では、虫歯の数や歯周病、生活の質 (QOL)にほとんど差がないと中程度の確信をもっている。

結論

成人が半年に一度、あるいは歯科医師による歯科疾患のリスク評価に基づいて個別の間隔で歯科医師の検診を受けるかどうかは、虫歯や歯周病、生活の質には影響しない。検診の間隔が長くても(最大24ヶ月)、これらの結果に悪影響を及ぼさないかもしれない。

現在、小児や青年がどのくらいの頻度で歯科医院で検診を受けるべきかについては、信頼できる十分なエビデンスがない。

訳注: 

《実施組織》堺琴美、阪野正大 翻訳[2021.07.18]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD004346.pub5》

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