早産児の短期成長を促進するための粉ミルクの中鎖トリグリセリド含有量の高低

レビューの論点

粉ミルクの中鎖トリグリセリド含有量が高い場合と低い場合では、早産児の短期成長にどのような影響があるのか?

背景

トリグリセリドは、人間の体脂肪の主成分である。脂肪はヒトの母乳中のエネルギー源(カロリー)の約半分を占めており、そのほとんどが長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)として存在している。栄養は、成長、代謝、免疫に不可欠である。

早産児の体重増加および成長障害は、神経発達上の有害なアウトカムと有意に関連している。栄養状態が悪いと、頭の成長が不十分なために精神運動能力や心の動きが悪くなり、脳性麻痺や自閉症の発生率が高くなると言われている。

母乳やドナー母乳を与えられない、あるいは人工乳による栄養の補足が必要な早産児のための粉ミルクに、成長を促す目的で脂肪を添加することができる。粉ミルクに含まれる脂肪には、長鎖脂肪酸を含むトリグリセリドと、それよりも短い中鎖脂肪酸(MCT)がある。MCTは、消化器官が未熟な新生児にも吸収されやすい成分である。LCTは、視力の発達、細胞膜や脳の発達に重要な役割を果たしている。

研究の特性

早産児の短期的な成長(体重、体長、頭囲の増加)に対して、高濃度MCTミルクと低濃度MCTミルクの使用(最低5日間)の効果を比較した小規模研究10件を対象とした。対象となった乳児は、平均妊娠期間が29週から32週、平均出生体重が1kgから1.5kg、平均月齢が1週から6週であった。エビデンスは、2020年9月現在のものである。

主要な結果

高MCTと低MCTの粉ミルクを与えられた乳児の成長パターンは、いずれの主要な短期成長結果にもほとんど差がなかった。

エビデンスの確実性

低MCT、高MCTのどちらのミルクを与えた未熟児でも、短期的な成長にはほとんど差がないことがわかった。試験数が少なく(10件)、それぞれの試験集団が小さいことが、差を示すエビデンスがない原因と考えられる。非常に低い確実性から低い確実性のエビデンスが見つかった。結果の数が限られている場合、確実性は低いと定義される。低い確実性とは、早産児の成長に対する個別化された栄養強化の真の効果は、本レビューの結果とは大きく異なる可能性が高いということである。確実性は、効果の推定値に確信が持てない場合は「非常に低い」と定義されており、このレビューの結果とは大きく異なる可能性がある。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子、阪野正大 翻訳[2021.04.06]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD002777.pub2》

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