超低出生体重児の壊死性腸炎を予防するために行うゆっくりとした授乳量調整

レビューの論点

生後数週間の間に、超低出生体重児への授乳量の増加率を制限すると、重度の腸障害のリスクが減少するか?

背景

超早産児(予定日よりも8週以上早くうまれた児)や超低出生体重児(出生時の体重が1,500g未満)の新生児は、壊死性腸炎(腸が炎症を起こして死ぬ)と呼ばれる重度の腸疾患を発症するリスクがある。この症状を防ぐには、生後数週間の乳児の授乳量を制限することが一つの方法ではないかと考えられている。

研究の特徴

超早産または超低出生体重の新生児の授乳量を、ゆっくりとしたペースで増加させる場合と、速いペースで増加させる場合とを比較したランダム化比較試験(2つ以上の治療群のいずれかに参加者をランダムに割り当てる研究)を検索した。対象とした試験は14件で、合計4,033人の乳児が含まれていた(1つの大規模試験には2,804人の乳児が参加していた)。検索は2020年10月現在のものである。

主な結果

対象となった試験を総合的に分析した結果、授乳量をゆっくりと増やしても、壊死性腸炎や死亡のリスクにはおそらく影響しない(中等度の確実性)。

結論とエビデンスの確実性

授乳の量をゆっくりと増やしても、超早産児や超低出生体重児の壊死性腸炎や退院前の死亡のリスクはおそらく減らない。

訳注: 

《実施組織》 榛葉有希、小林絵里子 翻訳 [2021.11.12]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD001241.pub8》

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