要点
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これまで肝硬変の人が肝性脳症を発症するリスクを抑えるのに有効と考えられていた抗菌薬は、実は効果がないようである。
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これらの抗菌薬は、この病気に対する他の治療法より多くの副作用を引き起こす可能性がある。
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これらの抗菌薬と他の治療法を組み合わせると有用か調べる研究を行う必要がある。
肝硬変とは何か、また肝性脳症とは何か?
肝硬変とは長期的に進行する病気で、肝臓がひどく損傷を受ける。肝臓は通常、血液の浄化、栄養素の処理、感染の防御を助ける。しかし、時を経て損傷が繰り返されると、瘢痕組織(傷が治る過程で生じる、元の状態と異なる組織)が広がり、正常に機能しにくくなる。
肝硬変の人は、脳の機能が低下する肝性脳症になる可能性がある。肝性脳症を発症する仕組みは複雑だが、胃腸からの毒素、特にアンモニアという化合物の血中濃度の高まりが重要な役割を果たす。アンモニアは、主に胃腸内の細菌の活動によって胃腸で発生する。
抗菌薬は肝性脳症においてどのように作用するか?
抗菌薬は細菌が引き起こす感染症の治療に用いられる薬剤で、細菌を殺したり、その増殖を阻止したりする形で作用する。一部の抗菌薬は、胃腸でのアンモニアの生成を減らし、血中アンモニアの値を下げる可能性がある。これら抗菌薬は長年にわたって肝性脳症の治療に使われてきたが、それが実際に効いているかどうかは不明である。本レビューでは、以下の抗菌薬を調べた。
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アミノグリコシド(ネオマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン)
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バンコマイシン
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メトロニダゾール
知りたかったこと
これらの抗菌薬が肝硬変の人において肝性脳症を予防または治療するのに役立つかどうか知りたかった。死亡数、肝性脳症の症状が改善した人または改善しなかった人の数、そして重症の合併症(ある病気が原因で発症する別の病気や症状)または軽症の合併症が起きた人の数への影響を分析した。
実施したこと
アミノグリコシド、バンコマイシン、メトロニダゾールを以下のものと比較した研究を探した。
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プラセボ、すなわち薬効がない「偽の」薬
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非吸収性の二糖類。これは主に消化管内で作用する糖で、消化器と肝臓の病気の治療によく用いられる。
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他の抗菌薬
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症状を緩和させる可能性のある他の活性物質
研究結果を比較、要約し、研究方法や研究規模などの要因に基づいてエビデンスの信頼性を評価した。
わかったこと
参加者1,405人を対象に行われた24件の研究が見つかった。これらの研究のうち、23件は肝性脳症の 治療薬 として評価したもの、1件は発症リスクが高い人における肝性脳症の 予防 について調べたものだった。
以下の比較について、エビデンスが見つかった。
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アミノグリコシドとプラセボ、非吸収性の二糖類、他の抗菌薬、他の活性物質(合計19件の研究)
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バンコマイシンと非吸収性の二糖類(2件の研究)
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メトロニダゾールと他の活性物質(3件の研究)
主な結果
死亡数
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アミノグリコシドを用いると、他の活性物質と比べて死亡リスクがやや増大する可能性がある。
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しかし、プラセボ、非吸収性二糖類、他の抗菌薬と比べて死亡リスクに差があるかはわからない。
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また、以下のものの間で死亡リスクに差があるかも不明である。
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バンコマイシンと非吸収性二糖類
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メトロニダゾールと他の活性物質
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肝性脳症:肝性脳症が改善した人の数
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アミノグリコシドを用いても、非吸収性二糖類や他の活性物質と比べて、症状が改善する人の数には、ほとんどまたはまったく差がない可能性がある。
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メトロニダゾールを用いても、他の活性物質と比べて、症状が改善する人の数には、ほとんどまたはまったく差がない可能性がある。
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以下のものを比べた場合、症状が改善する人の数に差があるかどうかわからない。
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アミノグリコシドとプラセボまたは他の抗菌薬
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バンコマイシンと非吸収性二糖類
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重症の合併症
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アミノグリコシドは、他の活性物質と比べて、重症の合併症のリスクをやや増大させる可能性がある。
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以下のものを比べた場合、重症の合併症について、なんらかの違いがあるかどうかわからない。
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アミノグリコシドとプラセボまたは他の抗菌薬
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バンコマイシンと非吸収性二糖類
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軽症の合併症
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アミノグリコシドを用いると、プラセボまたは他の抗菌薬と比べて、軽症の合併症のリスクがやや増大する可能性がある。
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以下のものを比べた場合は、軽症の合併症のリスクに差があるかどうかわからない。
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アミノグリコシドと非吸収性二糖類または他の活性物質
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メトロニダゾールと他の活性物質
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バンコマイシンと非吸収性二糖類
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健康関連の生活の質(QOL)に関しては、メトロニダゾールを用いた1件の研究でしか報告がなかったため、この結果(評価項目)についてはいかなる結論も出せない。
エビデンスの限界
一部の研究では、参加者がどの治療を受けていたか、参加者自身と研究者が知っており、これが結果に影響した可能性があったほか、われわれが知りたかった評価項目について報告していない研究もあったことから、本レビューの結果はほとんどまたは全く信頼できなかった。研究の規模は概して小さく、実施方法もまちまちだった。また、結果を信頼するには、研究の数が少なすぎた。
エビデンスはいつのものか?
エビデンスは2025年4月15日現在のものである。
《実施組織》橋本早苗 翻訳、杉山伸子 監訳[2026.08.31]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012734.pub2》
このコクランレビューは、元々は英語で作成されました。翻訳の正確性は、当該翻訳を担当した翻訳チームが責任を負います。質の高い翻訳を保証するため、この翻訳は細心の注意を払って作成され、標準的なプロセスに従って行われています。ただし、不一致、不明確または不適切な翻訳の場合、英語の原文が優先されます。




