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早産児における症候性動脈管閉鎖不全症の早期治療と待機的管理の予後比較

レビューの論点

症状のある動脈管開存症(PDA)の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を用いた早期治療(生後7日以内に開始)または超早期治療(生後72時間以内に開始)は、待機的管理(NSAIDsを使用しない)と比較して、早産児のアウトカムを改善するか?

背景

PDAは早産児や低出生体重児によく見られる合併症である。PDAは、肺と心臓の間にある開いた血液路で、通常は生後まもなく閉鎖する。早産児では、PDAが開いたままになることが多く、生命を脅かす合併症の一因となる可能性がある。PDAによる症状が出る前に、予防や治療を目的としてNSAIDsなどの薬が用いられる。しかし、早産児におけるNSAIDsの副作用に関する懸念がある。症状のあるPDAを早期に治療することで、早産児の予後が改善するかどうかについては議論がある。

研究の特徴

特定の臨床的特徴と心臓の超音波検査を組み合わせて診断された症候性PDAを有する早産児(妊娠37週未満で出生)または低出生体重児(体重2500g未満)を対象としたランダム化比較試験(2つ以上の治療群のいずれかに無作為に振り分けられる臨床研究)について、科学データベースを検索した。対象となった研究では、症状のあるPDAに対してNSAIDsを用いて早期あるいは超早期に治療を行う場合と、NSAIDsを用いずに待機的な管理を行う場合を比較している。検索結果は2020年10月2日時点のものである。

主な結果

14件の臨床試験(乳児910名が対象)をレビューした結果、症状のあるPDAを早期または超早期に治療しても、早産児の死亡やその他の望ましくない臨床アウトカムは減少しないことが明らかになった。一方、早期または超早期の治療は、NSAIDsが使われる早産児の数を増加させるようである。現在、分類待ちの試験が2件と、この臨床疑問に対する研究が進行中である試験が2件ある。

エビデンスの確実性

GRADE(各アウトカムを支持する臨床試験の確実性をスコア化する手法)によると、エビデンスの確実性は非常に低いものから中程度のものまで様々であったが、最も重要なアウトカムである「死亡」については中程度であった。

訳注

《実施組織》小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2021.03.22]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013278.pub2》

Citation
Mitra S, Scrivens A, Fiander M, Disher T, Weisz DE. Early treatment versus expectant management of hemodynamically significant patent ductus arteriosus for preterm infants. Cochrane Database of Systematic Reviews 2025, Issue 6. Art. No.: CD013278. DOI: 10.1002/14651858.CD013278.pub3.