新生児のオピオイド離脱に対する非薬理学的ケア

レビューの論点

いずれかの特定の非薬理学的(薬以外の治療法)なケア方法で、出生後のオピオイド離脱症の新生児に有益なものはあるか?

背景

妊娠中にオピオイドを服用した母親から生まれた新生児は、出産後に甲高い泣き声、震え、易刺激性などの離脱症状が出ることが多い。離脱症状に対しては、非薬物療法が最初の治療となる。非薬物療法を行ったにもかかわらず症状が悪化した場合は、2次治療としてモルヒネ、メタドン、ブプレノルフィンなどの薬物療法を行い、症状を軽減させる。非薬物療法は症状管理の最初のアプローチではあるが、どの病院でも同じというわけではない。私たちは、特定の非薬理学的(薬以外の治療法)なケア方法が出生後のオピオイド離脱症の新生児に有益なのかどうか知りたいと考えた。

研究の特徴

オピオイドに曝露された新生児を1つ以上の非薬物療法で治療したランダム化比較試験(RCT:人々を2つ以上の治療群のいずれかに無作為に入れる臨床試験)を調べた。非薬理学的ケアには、刺激を減らしたり落ち着かせたりするための環境の調整、授乳の頻度や種類の変更、母親の新生児ケアや母親の健康状態を向上させる工夫、新しい施設やケアシステムの導入に伴う複数の変化などがある。検索は2019年10月時点での最新情報である。

主な結果

今回のレビューでは、353人のオピオイド曝露新生児を登録した6件のRCTを対象とした。研究は1975年から2018年の間に発表されたものである。また、現在進行中の研究のうち、完了すればレビュー更新時に含めることができる可能性のある7件の研究を確認した。

6件のRCTのうち、4件のRCTでは、環境を変えることで刺激を減らしたり、心を落ち着かせたりすることが評価された。これらの研究では、機械的な揺らぎのあるベッド、うつぶせ寝(おなかを下にして寝ること)、揺らぎのないウォーターベッド、低刺激の新生児室などの効果を調べた。30人の乳児を対象とした1件の研究では、環境刺激の調整が入院期間と関連するかどうかは不明であった。92人の乳児を対象とした3件の研究によると、環境刺激を変更しても、薬物療法の使用にほとんど、あるいは全く差がないと考えられる。194人の乳児を対象とした1件の研究によると、環境刺激の調整が体重の底付き(出生後の入院中に記録された最低体重)と関連するかどうかは不明である。

1件の研究では、高カロリーの粉ミルクと標準カロリーの粉ミルクを比較し、授乳の変更を評価した。46人の乳児を対象とした研究によると、授乳方法が医薬品の使用、出生時の体重に戻るまでの日数、または入院中の最低体重と関連するかどうかは不明である。

ある研究では、母親に合わせた母乳育児支援の工夫を評価した。14人の乳児を対象とした1件の研究によると、母子へのサポートが入院期間、薬の使用、新生児集中治療室への入室と関連するかどうかは不明である。

多くの潜在的に重要な影響が報告されておらず、また、他にもすべての研究で報告されていないものがあった。

エビデンスの質

1つまたは複数の特定の非薬理学的ケアが、出生後のオピオイド離脱症の新生児に有益であるかどうかは不明である。すべての結果に対するエビデンスの質は非常に低いか低いものであり、個々の非薬理学的ケアの実践や非薬理学的ケアの実践の組み合わせに役立つ情報は限られている。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2021.03.24]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CDCD013217.pub2》

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