非卵管性異所性妊娠に対する治療法

レビューの論点

非卵管性異所性妊娠に対する手術、内科的治療、待機的管理の効果と安全性は?

背景

非卵管性異所性妊娠とは、子宮や卵管(子宮と卵巣をつなぐ管)以外の部位に胚が着床することである。部位としては、帝王切開時に子宮を切開した際にできる帝王切開痕、卵管間質部(子宮と卵管が合流する部分)、卵巣、子宮頸部、腹腔内などがある。特に、帝王切開痕妊娠(CSP)などの稀な部位での発生が増加している。異所性妊娠は、妊娠初期に発生する妊産婦死亡の80%を占めており、そのうち、非卵管性異所性妊娠が原因の死亡は卵管妊娠よりも高い割合を占めている。短期的および長期的な副作用を減らし、母体の重篤な状態や死亡を回避するためには、早期診断と効果的な治療が不可欠である。治療法には、手術的治療として子宮動脈塞栓術(UAE:カテーテルで子宮への血流を遮断するための小さな粒子を注入する方法)、子宮動脈化学塞栓術(UACE:カテーテルで子宮への血流を遮断する小さな粒子と抗がん剤を注入する方法)、子宮頸管拡張・吸引掻爬術(胎嚢を取り除く)などのほか、内科的治療(メトトレキサートと呼ばれる薬など)、待機的管理(自然に流産するのを待つ)がある。

研究の特徴

コクランの研究者は、303人の女性を含む5件の臨床試験を特定した。エビデンスは2019年12月現在のものである。

主な結果

帝王切開痕妊娠

2件の研究で、手術的治療としてUAE/メトトレキサートを用いたUACEと、内科的治療として吸引掻爬術後にメトトレキサートを全身投与(経静脈投与または筋肉注射)する方法を比較していた。治療の成功率、合併症、副作用について、エビデンスが不十分であった。中程度の質のエビデンスによると、手術群の治療による出血量は内科的治療群よりも少なかった。β-hCG値が正常に戻るまでの時間に関するデータはなかった。

1件の研究では、UAEに子宮動脈から局所的にメトトレキサート注入を併用した手術的治療と超音波ガイド下の局所メトトレキサート注入(内科的治療)を比較した。治療の成功率とβ-hCG値が正常に戻るまでの時間に関するエビデンスが不十分だった。この試験では、両群における治療失敗例は同数報告された。合併症やその他の副作用に関するデータはなかった。

UAE/メトトレキサートによるUACE後に、子宮鏡(先端に光源とカメラが付いた細い内視鏡を子宮に挿入する)下での吸引掻爬と超音波下での吸引掻爬を比較した研究が2件あった。治療の成功率、合併症、副作用、およびβ-hCG値が正常に戻るまでの時間についてのエビデンスは不十分であった。

帝王切開痕妊娠以外の非卵管性異所性妊娠

帝王切開の傷跡以外の場所での非卵管性異所性妊娠について報告した研究はなかった。

エビデンスの質

エビデンスの質は、中程度から非常に低いものまであった。主な限界は、参加者数および試験数が少ないこと、ほとんどの比較において結果の範囲が非常に広いこと、差を評価するためにはデータが不十分であることであった。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子、小林絵里子 翻訳[2021.03.15]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011174.pub2》

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