2歳未満の小児を対象に、摂取直前に補助食品を強化すること、また健康および栄養を改善することを目的としたビタミンおよびミネラル含有粉末の使用

ビタミンやミネラル、特に鉄分、ビタミンAおよび亜鉛の欠乏は、世界中の2歳未満の乳幼児の約半数に影響を与えている。生後6カ月までの完全母乳育児や最短2年間の継続的母乳育児は、小児の十分な健康や栄養を維持するために推奨されている。生後6カ月以降、乳児は離乳食を摂取し始めるが、成長中の乳児の必要量をすべて充たす上で、ビタミンやミネラルの量が不十分な場合がある。微量栄養素粉末(MNP)は、鉄分、ビタミンA、亜鉛やその他のビタミン・ミネラルを含んだ粉末の分包品であり、家庭や必要に応じて適宜離乳食にふりかけて使用し、この期間の乳児の食事に必要な栄養成分を増やすことができる。これは、通常の乳児食を変更することなく実施できる。

本レビューでは、アジア、アフリカおよびカリブ海諸国の低所得国に住む乳幼児3,748例を対象とした質の良好な8試験を組み入れた。5〜15種類のビタミンやミネラルを含む種々のMNP剤が、6〜23カ月の乳幼児に2〜12カ月間与えられていた。

家庭での栄養強化を目的とした鉄分、亜鉛やビタミンAなどを含むMNPの使用によって、2歳未満の小児における貧血や鉄欠乏症のリスク低下が認められた。試験では、成長に対する効果は認められなかった。革新的なこの介入法の許容性は高いが、通常推奨される鉄分のドロップやシロップよりも優れたベネフィットはない。ただし、これらの異なる介入を比較した試験はほとんどなかった。試験中の死亡は報告されておらず、副作用やマラリアなどの罹病率に関する情報もほとんどなかった。MNP使用は、貧血やマラリアの背景が異なる状況に住んでいるかどうかに関わらず、また、介入の継続期間が2、6または12カ月であるかどうかに関わらず、6〜23カ月の男女の乳幼児において有益であった。複数の微量栄養素欠乏に対処する上で、最も適した使用方法(連日または間欠的)、混合粉末内のビタミンとミネラルの適量、公共健康プロブラムで効果的にこの介入法を行う方法は、依然として不明である。

著者の結論: 

複合微量栄養素粉末を用いた家庭での栄養強化は、6〜23カ月の乳幼児において貧血および鉄欠乏症を減少させる上で有効な介入方法である。MNP使用は、介入なしやプラセボよりも優れており、一般的に使用される鉄分連日補給と同程度であると考えられる。小児の生存戦略としてのこの介入法のベネフィットや発達上のアウトカムに対するベネフィットは不明である。マラリア関連のアウトカムに対する効果のデータは欠如しており、罹病に関連するアウトカムについてさらなる研究が必要である。複数の栄養素を含む微量栄養素粉末は十分に許容されているが、遵守率はばらつきがあり、ドロップやシロップなどの標準的な鉄分補給を受けている乳幼児と同程度である場合もあった。

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背景: 

ビタミンやミネラルの欠乏(特に、鉄分、ビタミンAや亜鉛の欠乏)は、世界中の20億人以上に影響を与えている。乳幼児は、急速な成長や未熟な食生活のために、罹病のリスクが高い。微量栄養素粉末(MNP)は、複数のビタミンやミネラルを含んだ粉末の分包品であり、離乳食にふりかける。家庭用MNPの使用や補助食品の適宜強化は、2歳未満の小児における微量栄養素摂取を改善する介入法として提案されてきた。

目的: 

2歳未満の小児を対象に栄養学的、健康上および発達上のアウトカムに対する複合微量栄養素粉末を用いた家庭(適宜)栄養強化の効果および安全性を評価すること。

検索方法: 

2011年2月に下記のデータベースを検索した:Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ)、MEDLINE(1948 年〜2011年2月第2週)、EMBASE(1980年〜2011年第6週)、CINAHL(1937年〜現在)、CPCI-S(1990年〜2011年2月19日)、Science Citation Index(1970年〜2011年2月19日)、African Index Medicus(2011年2月23日に検索)、POPLINE(2011年2月21日に検索)、ClinicalTrials.gov(2011年2月23日に検索)、mRCT(2011年2月23日に検索)、World Health Organization International Clinical Trials Registry Platform(ICTRP)(2011年2月23日に検索)。また、実施中および未公表の試験を特定するため、関連する団体に連絡を取った(2011年1月25日)。

選択基準: 

個別ランダム化またはクラスターランダム化のいずれかを行ったランダム化試験および準ランダム化試験を組み入れた。介入実施時に2歳未満であり、特別な健康問題のない小児を参加者とした。介入は、鉄分、亜鉛およびビタミンAなどを含有した複合微量栄養素粉末を適宜使用した栄養強化食品の摂取であり、プラセボ、介入なし、または標準的な鉄分含有サプリメント使用と比較した。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれ組入基準と照らし合わせて試験の適格性を評価し、組み入れた試験からデータを抽出し、組み入れた試験バイアスのリスクを評価した。

主な結果: 

貧血が一般的な健康問題となっているアジア、アフリカ、カリブ海諸国内の低所得国で実施された8試験(参加者3,748例)を組み入れた。介入は2〜12カ月間継続し、使用した粉末には5〜15種類の栄養素が含まれていた。6試験では、MNP使用と介入なしまたはプラセボを、他の2試験では、MNP使用と鉄分含有ドロップの毎日摂取を比較した。組み入れた試験の大半は、バイアスのリスクが低いと評価した。

MNPを用いた家庭での栄養強化によって、介入なしやプラセボと比較して、乳幼児における貧血が31%減少し(6試験、RR 0.69、95% CI 0.60〜0.78)、鉄欠乏症が51%減少したが(4試験、RR 0.49、95% CI 0.35〜0.67)、成長に対する効果は認められなかった。

鉄分連日補給と比較して、MNP使用では貧血(1試験、RR 0.89、95% CI 0.58〜1.39)やヘモグロビン濃度(2試験、MD -2.36 g/L、95% CI -10.30〜5.58)に対して類似の結果が得られたが、データの量が限られたものであることを考慮すると、これらの結果は慎重に解釈するべきである。

試験中の死亡は報告されておらず、副作用やマラリアなどの罹病率に関する情報もほとんどなかった。

MNP使用は、介入の継続期間が2、6または12カ月であるかどうか、または性別を問わず、貧血の有病率が異なる状況やマラリアが流行する地域に住む6〜23カ月の乳幼児において有効と考えられる。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.13]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
CD008959 Pub2

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