前立腺癌に対する根治的前立腺切除術と経過観察(watchful waiting)

著者の結論: 

既存の試験は、局所前立腺癌患者に対するRPとWWの相対的な有益作用と有害作用について確信をもって述べることができるには不十分なエビデンスしか提供しない。進行中の試験の結果は、スクリーニングで局所前立腺癌が発見された男性に対して、治療判断の情報提供に役立つはずである。

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背景: 

臨床的局所的前立腺癌に対する治療選択肢の有効性に関するエビデンスの不足は臨床的意思決定に影響を与え続けている。そのような2つの治療選択肢は根治的前立腺切除術(RP)と経過観察(WW)である。WWとは、初期治療を行わず、病性増悪のエビデンスがある場合、緩和治療を行う意図で患者を監視するものである。

目的: 

局所前立腺癌の治療に対するRPとWWの利益と有害な影響を比較する。

検索方法: 

MEDLINE、EMBASE、Cochrane Library、ISI Science Citation Index、DARE、LILACSを2010年7月30日まで検索した。

選択基準: 

臨床的局所前立腺癌に対するRPとWWの効果を比較しているランダム化比較試験(RCT)および準ランダム化比較試験

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自にデータの抽出と質の評価を行った。

主な結果: 

2件の試験選択基準を満たした。両試験とも前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングが広く利用可能になる前に開始された。;従って、これらの結果はPSAが検出された前立腺癌の男性には適用可能でないと思われる。米国で行われた1件の試験(N=142)は質が悪いと判定された。15年間フォローアップ後、あらゆる原因からの(総)死亡率にRP群とWW群の間で有意はなかった(ハザード比(HR)0.9(95%信頼区間(CI)0.56~1.43)。スカンジナビアで行われた2番目の試験(N=695)は質が良いと判定された。12年間フォローアップ後、この試験の結果は、RPはWWと比較して、総死亡、前立腺癌による死亡、および遠隔転移のリスクに対しての有益な効果と一致したが、全ての推定値に対して、信頼区間の幅により示されるように効果の正確な大きさは不確かである(総死亡:リスク(RD)-7.1%(95%CI -14.7~0.5);前立腺癌による死亡:RD -5.4%(95%CI -11.1~0.2);遠隔転移RD -6.7%(95%CI -13.2~-0.2)。WWと比較して、RPは勃起不全(RD 35%(95%CI 25~45)や尿漏出(RD 27%(95%CI 17~37))の絶対リスクを高めた。これらの推定値については、試験参加者のサンプル(N=326)に対する自己記入式の質問紙法から得られたデータから導かれており、ベースラインQOL(quality of life)データは得られず、RPを受ける試験参加者に対しての神経保存手術はルーチンには行われなかったので注意して解釈しなければならない。

訳注: 

監  訳: 内藤 徹,2011.7.12

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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