乳幼児のアレルギー疾患予防のための加水分解タンパク質を含む粉ミルク

レビューの論点

乳児に加水分解タンパク質を含む粉ミルクを与えると、乳児期および小児期に喘息、皮膚炎・湿疹、花粉症、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を発症するリスクが減少するか?

背景

アレルギー性疾患は、乳幼児、小児、成人の健康に大きな影響を与えている。早期からの食事摂取は、アレルギー疾患の発症に影響を与える可能性がある。母乳のみで育てていない場合、通常の牛乳の代わりに加水分解した粉ミルクを使用すると、乳幼児のアレルギー疾患が減少する可能性があるが、これを確認するには追加の研究が必要である。乳児用調製粉乳はアレルギーや食物不耐症を発症する可能性が低くなるように作られている。これらの調整粉乳には、加水分解された牛乳や調整豆乳などがある。加水分解ミルクは、乳タンパク質を、アレルギーを引き起こす可能性の低い小さなタンパク質に分解している。

結果

この臨床試験のレビューでは、アレルギー疾患の予防のために、母乳のみの授乳よりも加水分解した粉ミルクを与えることを支持するエビデンスは見つからなかった。また、このレビューでは、母乳のみで育てることができない乳児の場合、牛乳と比較して加水分解した粉ミルクを長期間与えることが、どの時点においてもアレルギー疾患、喘息、湿疹、鼻炎、食物アレルギー、牛乳の粉ミルクの違いと関連するというエビデンスもなかった。しかし、粉ミルクのみを与えられている乳児における限られたデータによると、牛乳の代わりに加水分解された粉ミルクを与えることで、乳児のアレルギー疾患が減少する可能性が示唆されている。エビデンスの質や結果の一貫性に懸念があるため、継続的な研究が必要である。このレビューのエビデンスは、2017年11月までに更新された文献検索から得られたものである。

結論

母乳のみで育てることができない乳児のアレルギー疾患予防のために、加水分解された粉ミルクを牛乳の粉ミルクと比較して短期間または長期間与えることを支持する実質的な証拠は見つからなかった。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子、冨成麻帆 翻訳[2021.08.26] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CDCD003664.pub6》

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