早産児慢性肺疾患の予防に対するクロモリンナトリウム

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生後数日以内にクロモリンナトリウムを投与することにより、早産児での慢性肺疾患が予防されるとは示されなかった。早産児(在胎37週前の出生児)は、慢性肺疾患のため何週間も酸素の投与をしばしば必要とする。この原因の一部は、肺内の炎症(浮腫)である。理論上、クロモリンナトリウムはこの炎症の予防に有用な薬剤である。比較的安全で有害作用はまれである。慢性肺疾患の予防のため、生後数日以内にネブライザーまたはエアロゾル吸入器により投与可能である。しかし、試験による本レビューでは、クロモリンナトリウムにより慢性肺疾患を予防または減少できるという強いエビデンスを認めず、さらなる研究は必要ではないと考えられた。

著者の結論: 

クロモリンナトリウムはCLD予防に役立つというエビデンスを、ランダム化試験からは現在認めない。早産児でのCLD予防に対しクロモリンナトリウムを推奨できない。

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背景: 

慢性肺疾患(CLD)は早産児に発現することが多く、炎症などの多数の病因が関与している。クロモリンナトリウムは、肥満細胞の安定化物質の一つで、好中球活性化および好中球化学走性を阻害することから、CLDの予防に関与する可能性がある。

目的: 

CLDリスクのある早産児を対象に、CLD罹患率、死亡率、あるいは生後28日目の死亡、またはCLDの複合アウトカムに対するクロモリンナトリウムの予防投与の効果を検討すること。

検索方法: 

Cochrane Neonatal Review Groupの検索法を用いて研究を選択した。2009年7月までのCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL、コクラン・ライブラリ2009年第3号)、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、個人ファイル、同定した試験の文献リストを検索した。本更新のため、同じデータを2012年4月12日に検索した。さらに同日、PAS2ViewTMウェブ上でPediatric Academic Societies' Annual Meetings(2000~2012年)による抄録を検索し、また開始点として以前同定した2試験を用いてWeb of Scienceを同様に検索した。

選択基準: 

早産児を対象としたランダム化または準ランダム化比較試験(RCT)。生後2週間以内に開始したクロモリンナトリウム投与。ネブライザー、定量吸入器(スペーサー併用または無併用)によるクロモリンナトリウムの投与を介入とし、プラセボまたは無介入と比較した。適格な研究は以下のアウトカムを1つ以上含むものとした:総死亡率、28日目のCLD、妊娠週数36週時点でのCLD、28日目の死亡率とCLDの複合アウトカム。

データ収集と分析: 

Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions記載のコクラン共同計画での標準的方法を用いた。二値アウトカムでは、リスク比(RR)とリスク(RD)をその95%信頼区間(CI)とともに、連続データでは重み付け平均差(WMD)を報告した。メタアナリシスでは固定効果モデルを用いた。I2統計量を用いて異質性を検討した。

主な結果: 

乳児参加数が少ない2件の適格研究を同定した。28日目の死亡率またはCLDの複合アウトカム、28日目または妊娠週数36週目のCLD、28日目または妊娠週数36週目の生存児でのCLDに対して、クロモリンナトリウム予防投与による統計学的に有意なはなかった。新生児総死亡率、エアーリーク発生率、壊死性腸炎、脳室内出血、敗血症、機械的換気日数において、クロモリンナトリウム予防投与による統計学的に有意な効果は示されなかった。副作用は認められなかった。さらなる研究を必要とするとは考えられなかった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.10.31

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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