薬物耐性のてんかんにおけるケトン食

背景

てんかんは、脳からの異常な放電 により再発性の痙攣発作(発作:fits)が引き起こされる疾患である。多くの人の場合、1種類または複数の抗てんかん薬によって発作はコントロールできる。しかし、しばらくするとこれらの薬物では発作は抑えられなくなる(これを薬物耐性てんかんという)。薬物耐性てんかんの人に対し、特別な食事療法(ケトン食)が検討されることがある。ケトン食は、脂質が多く炭水化物が少ない食事である。

本レビューの目的は、痙攣発作制御、認知力(例:学習力、集中力、小児の学業成績、成人における学習力・集中力・記憶力等)および行動に対するケトン食療法の効果を調査することである。また、食事療法による有害作用や、研究から脱落した参加者数およびその理由を調査した。

試験の特性

てんかんの成人または小児においてケトン食と他の治療法とを比較したランダム化比較試験(2つ以上の治療群のいずれかに、参加者をランダムに振り分ける臨床試験)の医療データベースを検索した。参加者778名を対象とする11件のランダム化比較試験(RCT:Randomised Controlled Trials)を同定した。試験期間は2~16カ月であった。

主要な結果

ケトン食療法における短期の有害作用には、下痢、便秘および嘔吐などがあった。これらの研究から長期の影響は不明である。

すべての研究において参加者の脱落例が報告され、その理由は発作の改善がみられないことや、食事療法に耐えられなかったためであった。

一つの研究では、生活の質(QOL:Quality of Life)、認知力および行動に対するケトン食の効果が報告された。QOLにおいて、ケトン食を摂取した群と通常のケアを受けた群との間に違いは見られなかったが、ケトン食を摂取した参加者は、より活動的かつ生産的であり、より不安も少ないことが判明した。これらの領域において、さらなる調査が必要である。

近年では、改良されたアトキンス食など、より忍容性の高いケトン食が、発作コントロールにおいて、より強い制限ケトン食と同様の効果が認めらることが明らかとなった。しかし、さらなる研究が必要である。

エビデンスの質

本レビューの対象とした研究では、参加者が少数であることによる限界があり、また11件中10件では小児のみが対象であった。したがって、科学的根拠(エビデンス)の質は、低い〜非常に低いと判断した。

現時点では、これらのケトン食療法を成人に対し使用した研究はほとんどないため、この分野でのさらなる研究が必要である

このエビデンスは2017年4月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2019.09.30]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD001903.pub4》

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