成人における大腿骨近位部骨折術後の可動性の改善・回復を目的とした介入

大腿骨近位部骨折術後のケアの目的は、患者が無事に回復し、再び歩けるようになることである。初めはベッドで安静にし、体重負荷を制限する場合もある。その後、可動性を改善するため、入院中やしばしば退院後に、歩行の再訓練や運動プログラムなどさまざまな方法を用いる。

本レビューでは、概ね65歳を超える参加者1589例を対象とした19件の試験のエビデンスを選択した。多くの試験では、追跡調査が不十分など方法に問題があった。類似する2件の試験がなかったため、データの統合はしなかった。

12件の試験では、大腿骨近位部骨折術の直後に開始した介入を評価した。複数の単一試験では、2週間の体重負荷プログラム、大腿四頭筋の筋力強化訓練プログラム、および疼痛緩和を目的とした電気刺激により、可動性が改善することがわかった。複数の単一試験において、トレッドミルでの歩行再訓練プログラム、12週間の筋力トレーニング、および16週間の体重負荷運動では、可動性の有意な改善はみられなかった。術後48時間以内の歩行開始について調べた1件の試験では、結果に矛盾があった。1件の古い試験では、体重負荷の開始時点について2週と12週を比較したところ、好ましくないアウトカムに有意差はみられなかった。2件の試験では、より激しい理学療法レジメンについて評価し、そのうち1件では回復に差がなく、もう1件では激しいレジメン群で脱落率が高いことを報告した。2件の試験では大腿四頭筋の電気刺激について調べ、そのうち1件では介入の利益が認められず忍容性が低かった。もう1件では可動性が改善し、良好な忍容性が得られた。

7件の試験では退院後に開始した介入を評価していた。退院直後に開始した2件の試験では、12週間の激しい身体訓練、および在宅理学療法プログラムにより、それぞれアウトカムが改善した。標準的な理学療法終了後に開始した1件の試験では、6カ月の激しい身体訓練でアウトカムが改善した。別の試験では、1年間の運動プログラムで活動レベルが増加した。一方、1件の試験では在宅での筋力トレーニングや有酸素運動に有意な効果が認められなかった。1件の試験では、傷害から22週前後に開始した在宅運動でアウトカムが改善した。1件の試験では、7カ月時点で開始した在宅での体重負荷運動で、可動性に有意な改善がみられなかった。

要約すると、本レビューでは、大腿骨近位部骨折術後に患者の歩行を支援するうえで、介入の開始時期は入院中と退院後のどちらが最適なのかを決定するには、エビデンスが不十分であることがわかった。

著者の結論: 

大腿骨近位部骨折術後の可動性強化に最適な方法を確立するには、ランダム化試験のエビデンスが不十分である。

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背景: 

大腿骨近位部骨折は主に高齢者で生じる。可動性を改善する方法には、歩行の再訓練、さまざまな運動、筋刺激などがある。

目的: 

成人における大腿骨近位部骨折術後の可動性改善を目的としたさまざまな介入の効果を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Bone, Joint and Muscle Trauma Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINEなどのデータベース、および論文の参考文献リストを2010年4月まで検索した。

選択基準: 

大腿骨近位部骨折術後に異なるモビライゼーション法を比較したあらゆるランダム化または準ランダム化試験。

データ収集と分析: 

著者らはそれぞれ試験を選択し、バイアスのリスクを評価し、データを抽出した。データの統合は行わなかった。

主な結果: 

選択した19件の試験(高齢者1589例)は小規模で、しばしば方法論的な不備があった。2件の試験が同様の介入について調べていた。

12件の試験では、大腿骨近位部骨折術の直後に開始したモビライゼーション法を評価した。複数の単一試験では、2週間の体重負荷プログラム、大腿四頭筋の筋力強化訓練プログラム、および疼痛緩和を目的とした電気刺激により、可動性が改善することがわかった。複数の単一試験において、トレッドミルでの歩行再訓練プログラム、12週間の筋力トレーニング、および16週間の体重負荷運動では、可動性の有意な改善はみられなかった。術後48時間以内の歩行開始について調べた1件の試験では、結果に矛盾があった。1件の古い試験では、体重負荷の開始時点について2週と12週を比較したところ、好ましくないアウトカムに有意差はみられなかった。2件の試験では、より激しい理学療法レジメンについて評価し、そのうち1件では回復に差がなく、もう1件では激しいレジメン群で脱落率が高いことを報告した。2件の試験では大腿四頭筋の電気刺激について調べ、そのうち1件では介入の利益が認められず忍容性が低かった。もう1件では可動性が改善し、良好な忍容性が得られた。

7件の試験では退院後に開始した介入を評価した。退院直後に開始した2件の試験では、12週間の激しい身体訓練、および在宅理学療法プログラムにより、それぞれアウトカムが改善した。標準的な理学療法終了後に開始した1件の試験では、6カ月の激しい身体訓練でアウトカムが改善した。別の試験では、1年間の運動プログラムで活動レベルが増加した。一方、1件の試験では在宅での筋力トレーニングや有酸素運動に有意な効果が認められなかった。1件の試験では、傷害から22週前後に開始した在宅運動でアウトカムが改善した。1件の試験では、7カ月時点で開始した在宅での体重負荷運動で、可動性に有意な改善がみられなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.21]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
CD001704Pub4

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