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メニエール病に対するさまざまな薬の利益とリスクは何か?

要点

メニエール病の治療に使用される経口薬(錠剤)は、臨床現場で日常的に使用されているにもかかわらず、確固たるエビデンスがないため、症状の改善に効果があるかどうかは明らかではない。他の疾患に使用する場合、これらの薬剤は副作用を引き起こす可能性がある。しかし、メニエール病を対象とした研究からの情報が少なすぎて、これらの治療による重大なリスクがあるかどうかがわからない。

いくつかの薬が有効であるかどうかを確認し、治療による有害な影響があるかどうかを評価するためには、より大規模で十分に実施された研究が必要である。

また、メニエール病の患者の症状を測定し、治療が有効であるかどうかを評価するために、どのような方法が最適であるかをさらに検討する必要がある。これには、メニエール病に関するすべての研究で測定されるべき事項のリストである「コア・アウトカムセット」の開発も含まれるべきである。

メニエール病とはどのような病気か?

メニエール病は、内耳が影響を受ける病気である。浮動性めまい(ふわふわと浮いているように感じるめまい)や回転性めまい(自分がぐるぐる回るように感じるめまい)の発作を繰り返し、聴力障害、耳鳴り、耳が詰まった感じや圧迫感も生じる。通常、成人が発症し、中年期から発症する。

メニエール病はどのように治療するか?

メニエール病の最初の治療として、内服薬がよく使われる。ベタヒスチンや利尿剤などの薬がよく使われるが、その他にも副腎皮質ステロイド薬(以下、ステロイド)や抗ウイルス剤などの治療が行われている。その他の治療法もある(例えば、耳への注射や手術など)。

何を知りたかったのか?

以下の内容を検討した:

- メニエール病の症状を軽減する内服薬があることを示唆するエビデンスがあるかどうか;

- その治療が害を及ぼす可能性があるかどうか。

何を行ったのか?

異なる種類の治療を、無治療または偽薬(プラセボ)治療と比較した研究を検索した。

何がわかったか?

その結果、10件の研究が見つかり、合計848人が参加した。期間は3か月から2年間であった。ほとんどの研究がベタヒスチンによる治療、2件の研究が利尿剤、1件の研究がステロイド、1件の研究が抗ウイルス剤について調べていた。

ベタヒスチン

ベタヒスチンが回転性めまい症状に影響を与えるかどうかは不明である。また、害を及ぼすかどうかも不明である。いくつかの研究は見つかったが、多くはこのレビューで知りたかった情報について報告していなかったり、報告時期が非常に異なっていたりしたため、異なる研究の結果を組み合わせてより正確な答えを得ることはできなかった。

利尿剤

利尿剤が回転性めまい症状に影響を与えるかどうかは不明である。この治療による害の可能性を報告した研究は見つからなかった。

抗ウイルス剤とステロイド

これらの治療法を検討した研究は、それぞれについて小規模な研究が1件ずつしか見つからなかったので、回転性めまいに対する効果があるかどうかは非常に不確かである。

エビデンスの限界は?

実施された研究のほとんどが非常に小規模で、実施に問題があったため、結果の信頼性が低く、エビデンスの確実性は非常に低い。これらの治療法の中には、メニエール病で広く使われているものもあるので、意外に思われるかもしれない。しかし、さまざまな治療法が実際にどの程度有効であるかを調べるためには、より大規模で十分に実施された研究が必要である。

このエビデンスはいつのものか?

エビデンスは2022年9月現在のものである。

訳注

《実施組織》 阪野正大、杉山伸子 翻訳[2023.05.06]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD015171.pub2》

Citation
Webster KE, Galbraith K, Harrington-Benton NA, Judd O, Kaski D, Maarsingh OR, MacKeith S, Ray J, Van Vugt VA, Burton MJ. Systemic pharmacological interventions for Ménière’s disease. Cochrane Database of Systematic Reviews 2023, Issue 2. Art. No.: CD015171. DOI: 10.1002/14651858.CD015171.pub2.

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