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成人における過活動膀胱症候群に対する抗コリン薬とプラセボの比較

背景

成人の約16%に過活動膀胱の症状がある(頻回な尿意促迫と切迫尿失禁またはそのいずれか)。年齢と共に有病率が高くなる。この疾患の治療に一般に抗コリン薬が使われている。

目的

過活動膀胱症候群の治療に対する抗コリン薬の効果を判定する。

検索戦略

Cochrane Incontinence Group Specialised Trials Register(2005年6月14日検索)と関連論文の文献リストを検索した。

選択基準

過活動膀胱症候群の成人において抗コリン薬をプラセボ治療または無治療と比較したランダム化または準ランダム化試験。

データ収集と分析

2名のレビューアが別々に、適格性、試験の質および抽出したデータを評価した。データは Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions(Higgins 2005)に書かれているように処理した。

主な結果

61件の試験、すなわち42件の並行群間デザインと19件のクロスオーバー試験を本レビューに含めた(成人11,956人)。ほとんどの試験は二重盲検と説明されていたが、そのほかの質の局面はさまざまであった。クロスオーバー試験では、メタアナリシスに含めるのが可能となるような方法でデータを発表していなかった。テストされたのは9種類の薬、すなわちダリフェナシン、臭化エメプロニウムまたはcarrageenate、オキシブチニン、プロピベリン、プロパンテリン、トルテロジン、塩化トロスピウム、ソリフェナシンであった。1件の試験にはトルテロジンの新しい徐放製剤が含まれていた。治療期の終了時、治癒または改善(相対リスク(RR)1.39、95%CI 1.28~1.51)、24時間における漏れエピソードの違い(加重平均値の差(WMD) -0.54; 95%CI-0.67~-0.41)および24時間における排尿回数の差(WMD -0.69; 95%CI -0.84~-0.54)は、統計的に有意に薬物治療の方が有効であった。わずかな程度ではであるが統計的に有意に生活の質スコアに改善があったと、最近終了した試験で報告された。薬物群において口渇の発生率が3倍であったが(RR 3.00 95%CI 2.70~3.34)、薬の中止には統計的有意差はなかった(RR 1.11、95%CI 0.91~1.36)。感度分析は、試験の数が少ないために限界があるものの、年齢、性別、診断、薬の選択によって(抗コリン薬の)効果が変化する可能性はほとんどないことが示された。

著者の結論

過活動膀胱症候群の人への抗コリン薬を使用は、症状を統計的に有意に改善する。最近の試験はこれが生活の質のわずかな改善を伴うことを示唆している。口渇はよくある治療の副作用であるが、中止の数に影響するとは思われなかった。長期治療中に、また治療を中止した後に、これらの利益が維持されるかどうかは明らかでない。

訳注

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Citation
Stoniute A, Madhuvrata P, Still M, Barron-Millar E, Nabi G, Omar MI. Oral anticholinergic drugs versus placebo or no treatment for managing overactive bladder syndrome in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews 2023, Issue 5. Art. No.: CD003781. DOI: 10.1002/14651858.CD003781.pub3.