早産児の罹患および死亡を予防するためのシクロオキシゲナーゼ阻害剤の予防的投与

レビューの論点

利用可能なシクロオキシゲナーゼ(COX-I)阻害薬(インドメタシン、イブプロフェン、アセトアミノフェン)のうち、生後72時間以内に動脈管開存症(PDA)の存在を事前に知らずに予防投与した場合に、最も安全で早産児の死亡や望ましくない結果を防ぐ効果が高いのはどれか。

背景

PDAは早産児や低出生体重児によく見られる合併症である。PDAは、肺と心臓の間に開いた血液路で、通常は生後まもなく閉鎖する。早産児では、PDAが開いたままになることが多く、生命を脅かす合併症の一因となる可能性がある。インドメタシン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなどのCOX-I阻害薬は、PDAとそれに関連する望ましくない結果を予防できる可能性がある。3種類のCOX-I阻害薬のうち、どれが早産児の臨床結果を改善するかについては、論争が続いている。

研究の特性

PDAを有するかどうかわからないが生後72時間以内にCOX-Ⅰ阻害薬が投与された早産児(妊娠37週未満で出生した児)、低出生体重児(体重2,500g未満の児)、または早産児・低出生体重児を対象としたランダム化比較試験(参加者が2つ以上の治療群のいずれかへ無作為に割り付けられた臨床試験)について、科学データベースを検索した。対象となった試験では、インドメタシンまたはイブプロフェン、アセトアミノフェンの投与と、プラセボまたは無治療を比較した。

主な結果

28件の臨床試験(3,999人の早産児)のレビューによると、予防的インドメタシン投与はおそらく重度の脳出血をわずかに減少させ、死亡とPDA手術の必要性を中等度に減少させ、慢性肺疾患をわずかに増加させるかもしれないことがわかった。インドメタシンの予防投与は、壊死性腸炎、消化管穿孔、脳性麻痺においてわずかな差をもたらすと思われる。イブプロフェンの予防投与は、おそらく重篤な脳出血をわずかに減少させ、PDA手術の必要性を中等度に減少させるものと考えられる。イブプロフェンの予防投与は、死亡率を中等度に低下させ、慢性肺疾患および壊死性腸炎にわずかな差をもたらす可能性がある。アセトアミノフェンが臨床的に関連するどの結果にも影響を与えるというエビデンスは非常に不確実である。アセトアミノフェンの予防的投与については、現在2件の臨床試験が進行中である。

エビデンスの確実性

GRADE(各結果を支持する試験の確実性をスコア化する方法)によると、エビデンスの確実性は非常に低度のものから高度のものまで様々であったが、最も重要な結果である重度の脳出血と死亡については中等度であった。

このレビューの更新状況

検索結果は2021年12月9日時点で最新のものである。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳[2022.04.21]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013846.pub2》

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