消化管手術を受けた正期産児にラクトフェリンを投与することの利点とリスクは何か?

要点

消化管の手術を受けた正期産(妊娠37週以降)の赤ちゃんにラクトフェリン(牛乳に含まれるタンパク質)を与えることの影響を調査した医学的研究は見つからなかった。

ラクトフェリンとは何か?

ラクトフェリンは牛乳に含まれるタンパク質で、感染症から身を守る働きがある。ラクトフェリンのサプリメントも販売されており、未熟児を対象に研究されている。ラクトフェリンが未熟児の感染症を予防するというエビデンスがいくつかある。

赤ちゃんの消化管手術のリスクにはどのようなものがあるか?

消化管の手術は感染のリスクを高める。感染症は入院期間を長くする。抗生物質(細菌感染と闘う薬)による治療や手術によるストレスは、消化管内の善玉菌を混乱させる可能性がある。

知りたかったこと

正期産児の消化管手術後にラクトフェリンを投与することで、感染症や死亡率が減少し、消化管内の善玉菌の存在が改善されるかどうかを調べたかった。

何を行ったのか?

消化管手術を受けた乳児を、ラクトフェリンまたはプラセボ(薬を含まないが、試験中の薬と見た目や味が同じ「ダミー」治療薬)に無作為に割り付けた研究を検索した。

わかったこと

消化管手術を受けた正期産児にラクトフェリンを投与してプラセボと比較した研究は見つからなかった。この疑問に答えるためには、十分にデザインされた大規模な研究が必要である。 

本エビデンスはいつのものか?

この検索結果は2023年2月現在時点のものである。

訳注: 

《実施組織》 小林絵里子、阪野正大 翻訳[2023.08.30]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012218.pub2》

Tools
Information