母乳育児は1~12ヶ月の乳児のワクチン接種の痛みを軽減するか?

要点

予防接種の注射の前や最中に母乳を与えると、ほとんどの1歳までの赤ちゃんの痛みが軽減されることがわかった。

背景

針は、赤ちゃんの幼児期の予防接種や小児の病気の際の医療行為に使われる。これらは必要不可欠なものであるが、痛みを伴う。これらは、赤ちゃんとしばしばその両親や介護者に苦痛を与え、将来的に針に対する不安や恐怖を引き起こす可能性がある。新生児の血液検査時に母乳を与えると、痛みが軽減される。また、可能な限り母乳で育てることで、新生児期から乳児期にかけての赤ちゃんの痛みを和らげることができる。

研究の特徴

2016年2月、私たちは、針の使用時に生後1~12カ月の赤ちゃんに母乳を与えることの有効性を検討した研究を医学文献で検索した。母乳育児による痛みの軽減効果(泣いている時間と痛みのスコアで評価)を、抱っこや赤ちゃんを横にすること、水やショ糖液を与えることと比較した。合計1066人の赤ちゃんを対象とした10件の研究が確認できた。すべての研究で、母乳育児によって予防接種時の痛みが軽減されるかどうかが検討された。

主な結果

母乳を与えることで、予防接種を受けた赤ちゃんの泣き声が減少した。母乳で育てられた赤ちゃんは、母乳で育てられていない赤ちゃんに比べて、平均して38秒間泣く時間が短く(6件の研究、547人の乳児、中等度の質のエビデンス)、痛みのスコアは有意に低かった(5件の研究、310人の乳児、中等度の質のエビデンス)。

有害性を報告した研究はなかった(非常に低い質のエビデンス)。ワクチン接種中に健康な赤ちゃんに母乳を与えることの有害性のリスクについては、結論を出すことができなかった。

今後の展開:母親が母乳で育てている場合、予防接種の際に赤ちゃんに可能な限り配慮することができる。月齢が大きくなった赤ちゃんや、入院中の血液検査や点滴などの処置の際に母乳が役立つかどうかについては、さらなるエビデンスが必要である。

エビデンスの質

泣く時間と痛みのスコアについては、エビデンスの質は中等度であった。ほとんどの研究では、1~6ヶ月の幼い乳児を対象としている。今後、生後12ヶ月までの乳幼児を対象とした研究が進めば、結論が変わるかもしれない。さらに、これらの研究では、ワクチン接種時の母乳育児の効果を評価している。病院での採血や点滴の際に、1~12ヶ月の病気の赤ちゃんに母乳が役立つかどうかは分かっていない。

訳注: 

《実施組織》小林絵里子、季律 翻訳[2021.03.25]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011248.pub2》

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