妊娠高血圧の予防のための妊娠前または妊娠初期における食品または錠剤のカルシウム補充

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論点

本レビューの目的は、妊娠前または妊娠初期から少なくとも妊娠中期まで継続したカルシウム補充もしくはカルシム強化食品の摂取は、子癇前症や高血圧および死亡などその他の深刻な健康問題を発症する女性の数を低減するか、並びに胎児および新生児のアウトカムを調査することである。

重要である理由

女性は妊娠20週目後に尿蛋白を伴う高血圧を発症することがあり、子癇前症として知られている。多くの女性、特に低所得国の女性は、食事に十分なカルシウムが含まれていない。妊娠後期にカルシウムを補充することにより、高血圧や尿蛋白から発症する痙攣(子癇)、脳卒中、凝固障害、胸水、腎不全および死亡などの重篤な結果を引き起こすリスクを減らすことが示唆されている。しかし、妊娠後期にカルシウムを補充することは、子癇前症を発症する女性の数を大幅に低減させてはいないようである。妊娠前または妊娠初期にカルシウムを補充することで、高血圧合併症を発症する女性の数が低減できるか知ることは重要である。

子癇前症を発症した女性に対し、妊娠前または妊娠初期にカルシウムを補充した効果を調査したランダム化比較試験を検索した。

得られたエビデンス

2017年6月29日および2017年8月10日に医学文献を検索し、1件のランダム化比較試験を見つけた。抗酸化レベルが低い女性に対し、妊娠第12週以内からカルシムと抗酸化剤およびその他のサプリメント、もしくはダミーの錠剤を投与した。両治療群とも、錠剤には葉酸と鉄分のサプリメントが含まれていた。この試験には女性60例しか参加しておらず、インドネシアのある病院で実施されていた。

カルシウムに抗酸化剤およびその他のサプリメントが加えられたものを摂取した女性は、コントロール群の女性と比較して測定した場合、子癇前症、流産または死産を経験するリスクが低かった。カルシウムのサプリメントを摂取した女性についても、流産または死産がどの妊娠時期においても低減した(中等度の質のエビデンス)カルシウムに抗酸化剤が加えられたものを摂取した女性において、子癇前症のみ(低い質のエビデンス)、および20週目前の初期妊娠損失が低下した可能性があるが、確定はできない。カルシウム補充は、重度の子癇前症もしくは胎盤早期剥離(発症数は非常に少ない)を発症した女性の数に対し明確な違いが見られなかった(低い質のエビデンス)。他のアウトカムは報告されることがほとんどないか未報告であった。

意味するもの

カルシウムを摂取した女性は、抗酸化剤と他のサプリメントも服用した。このため、子癇前症と流産または死産の低減もしくは他の結果がカルシムによるものか否か判断できない。この確認のため、またカルシウムが他のアウトカム(早産や帝王切開、出産時低体重児、および死産または退院前の新生児死亡など)を減らすか否か確認するためには、さらなる研究が必要である。女性60例しか本試験に参加しておらず、そのためエビデンスの品質は高くない。今後の試験信頼性の高い結果を得るために十分な規模で実施する必要がある。

妊娠前にカルシウムを補充する試験が1件実施中だが、まだ終了していない。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD011192.pub2】

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