子宮頸がん検診で確認された軽度の細胞診異常の管理

論点
子宮頸がん検診プログラムは、子宮頸部細胞診(塗抹検査)を行うことにより子宮頸がんのリスクを軽減する。これは、将来的に浸潤性の子宮頸がんに発展する可能性がある「前がん病変」を発見し、治療することを目的としている。通常、重度の前がん病変のみ治療が必要となる。一方で、日常的にHPV(ヒトパピローマウイルス)検査を併用できない場合の、軽度の細胞学的変化であるASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞/軽度扁平上皮内病変疑い)やLSIL(軽度扁平上皮内病変/細胞核の軽度異常)が認められた女性の管理方法についての意見は一致していない。

本レビューの目的
本レビューの目的は、子宮頸部に軽度の細胞学的異常を有する女性に対して、コルポスコピー検査への即時紹介と、子宮頸部の細胞診を繰り返し行う「注意深い経過観察」のどちらがより良いのか評価することである。

主な結果
子宮頸部の細胞診で軽度の異常を認め、即時のコルポスコピー検査または反復的細胞診のいずれかで治療した11,466人の参加者を含む、5件のランダム化比較試験を解析の対象として組み入れた。これらの研究は、2つの治療法間の子宮頸部前がん病変の発生の違いを評価していた。

解析の結果、悪性度の低い子宮頸部の細胞診異常を一度指摘されて即時にコルポスコピー検査を受けた女性は、「注意深い経過観察」を受けていた女性よりも臨床的に意義の低い所見まで検出される可能性が高いことが示された。

浸潤を伴う子宮頸がんは18例認められ、うち即時コルポスコピー検査群で発見されたものが7例、注意深い経過観察によって発見されたものが11例であった。即時コルポスコピー検査群は細胞診による経過観察群と比較し、臨床的に意義の低い低悪性度病変の検出率が高かった。臨床的に意義の高い高悪性度前がん病変(CIN2またはCIN2以上)の検出率も18ヶ月時点では高かったが、24ヵ月時点では検出率のは確認されなかった。

参加者の追跡調査が不可能(コンプライアンス違反)になるリスクは細胞診による経過観察群で有意に高く、追跡期間が長くなるにつれて増加した。

エビデンスの質
エビデンスの質は低~中程度である。

結論
HPV-DNA検査は、軽度の子宮頸部の細胞診異常を有する女性に有効なトリアージツール(重症度を判別するための検査)であることが示されている。しかし現時点では、この検査は世界中で日常的に利用可能なものではない。HPV-DNA検査ができない場合、細胞診による経過観察よりも即時コルポスコピー検査の方が早期に前がん病変を発見できる可能性が高いが、軽度異常を指摘された2年後には2つの手法間にはないようである。細胞診による注意深い経過観察へのコンプライアンスが悪いと予想される場合(定期的な検査を継続していくのが難しいと医師が判断した場合)には、低悪性度または境界悪性の細胞診異常が一度認められたら即時にコルポスコピー検査を実施してもよいだろう。経過観察へのコンプライアンスが良好であると予想される場合には、過剰診断過剰治療のリスクを減らすため、反復的な子宮頸部の細胞診が提案されるかもしれない。

訳注: 

《実施組織》森岡敬一朗 翻訳、杉山伸子 監訳[2020.08.11]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009836.pub2》

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