ギラン・バレー症候群に対する、副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリン静脈内投与および血漿交換以外の薬物療法

レビューの論点

ギラン・バレー症候群患者(Guillain-Barré syndrome:GBS)を対象に、免疫グロブリン静脈内投与、血漿交換、または副腎皮質ステロイド薬以外の薬物療法に関するエビデンスを検証した。

背景

GBSは、神経の炎症によって急性のまひを引き起こす疾患である。症状は、発症から4週間以内に最も重症となる。GBS患者の3%〜13%が、合併症で死亡する。4分の1の患者が、呼吸を補助するために人工呼吸器を必要とする。回復には数週間~数カ月かかり、しばしば後遺症が残る。血漿交換(血液中から有害物質を排出させること)および免疫グロブリン静脈内投与(献血から採取したヒト抗体を注入すること)によって、GBS患者の回復が早まる可能性がある。副腎皮質ステロイド薬の有効性についてエビデンスはない。しかし、これらの治療法にもかかわらず、GBSを発症した患者の多くが、長期的な身体障害を呈する。新しい治験を開始するための基礎として、他の治療法としてどのようなものが試行されたか、検証する必要がある。

試験の特性

本レビューの初回(2011年に実施)に、4件の試験を特定したが、2013年と2016年の更新時に新たなエビデンスはみられなかった。各試験では、異なる治療法が検討されていた。得られたエビデンスは、非常に質の低いものであった。参加者19例のみを対象としたランダム化比較試験(randomized controlled trials :RCT) 1件では、インターフェロンβ-1a(多発性硬化症に有益な薬剤)とプラセボを比較した。参加者10例のみを対象としたもう1件の試験では、理論上ではGBS患者でも有益と考えられる神経成長因子とプラセボを比較した。参加者37例を対象とした3件目の試験では、脳脊髄液濾過(脊髄周辺の神経根を洗浄すること)と血漿交換を比較した。参加者43例を対象とした4件目の試験では、抗炎症作用があると考えられる漢方薬tripterygium polyglycosideと副腎皮質ステロイド薬を比較した。最初の3件の試験は、企業による研究支援を受けた。4件目の試験の支援については不明である。

主要な知見およびエビデンスの質

これらの試験のうち、急性期GBS患者の治療においてこれらの薬剤の有効性や有害性を確認または否定する上で十分な規模のものはなかった。治療間でがみられた唯一の試験は、漢方薬に関する試験であり、漢方薬投与群では、副腎皮質ステロイド薬投与群と比較して、8週間後における身体障害の改善率が1.5倍高かった。しかし、この推定値不正確であり、著者はその他の臨床アウトカムを報告していなかった。特定した試験で検討された4種類の治療薬のそれぞれについて、重篤な有害事象は不明であり、発症率について対照群との間に有意はみられなかった。RCTのエビデンスを除いて、エビデンスはほとんどなかった。

GBSに対する新たな治療法を開発および検証し、より感受性の高いアウトカム指標を採用する必要がある。現在実施中の試験2件では、補体活性阻害免疫抑制剤エクリズマブについて検討している。

エビデンスは2016年1月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD008630.pub4】

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