炎症性腸疾患の治療に対する心理学的介入

著者の結論: 

全体として、IBD成人患者における精神療法の有効性を示すエビデンスは認められなかった。青年に対しては心理学的介入が有益となる可能性があるが、エビデンスは限られたものである。心理学的介入が必要とされるサブグループにおいて精神療法の有効性を評価し、最も有益と思われる治療法の種類を同定するために、さらなるエビデンスが必要である。

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背景: 

炎症性腸疾患(IBD)に対する心理学的介入の効果が議論を呼んでいる。

目的: 

心理学的介入(精神療法、患者教育、リラクゼーション技法)が健康関連の生活の質、対処、感情の状態、IBDの疾患活動性に及ぼす効果を評価すること。

検索方法: 

IBD/FBD Groupの特殊登録、CENTRAL(2010年、Issue 5)を検索し、Medline、Embase、LILACS、Psyndex、CINAHL、PsyInfo、CCMed、SOMED、Social SciSearchを最初から2010年4月まで検索した。また、会議の抄録と参照文献リストも調べた。

選択基準: 

IBDを有する小児または成人を対象に心理学的介入を実施した、追跡期間2カ月以上のランダム化比較試験、準ランダム化比較試験、非ランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に、データを抽出し、研究の質を評価した。ランダム効果モデルを用いて、プールされた標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を計算した。

主な結果: 

21件の研究が選択基準に合致した(参加者1,745例、成人19例、青年2例)。ほとんどの研究は複数モジュールのアプローチを使用していた。すべての研究でバイアスのリスクは高かった。成人において、精神療法が、約12カ月時点における生活の質(3研究、患者235例、SMD -0.07、95%CI -0.33~0.19)、感情の状態(うつ、4研究、患者266例、SMD 0.03、95%CI -0.22~0.27)、寛解が得られない患者の割合(5研究、患者287例、OR 0.85、95%CI 0.48~1.48)に与える効果は認められなかった。結果は3~8カ月時点でも同じであった。統計的な異質性を示すエビデンスはなく、疾患のタイプまたは療法の強さに基づくサブグループによる影響のエビデンスもなかった。青年では、精神療法によるほとんどのアウトカムに対する短期的な効果が認められ、効果のみられたアウトカムは生活の質(2研究、患者71例、SMD 0.70、95%CI 0.21~1.18)とうつ(1研究、患者41例、SMD -0.62、95%CI -1.25~0.01)であった。教育の介入が、12カ月時点で生活の質(5研究、患者947例、SMD 0.11、95%CI -0.02~0.24)、うつ(3研究、患者378例、SMD -0.08、95%CI -0.29~0.12)、寛解が得られない患者の割合(3研究、患者434例、OR 1.00、95%CI 0.65~1.53)に与える効果は認められなかった。対象となった研究のいずれにおいても有害事象は報告されなかった。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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