慢性創傷のための自己多血小板血漿(PRP)療法

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慢性創傷は、褥瘡、静脈性下腿潰瘍、動脈性潰瘍、神経障害性潰瘍、糖尿病患者の足潰瘍などを含みます。自己多血小板血漿(PRP)療法には治癒を助けると考えられているフィブリンと高濃度の成長因子が含まれているため、創傷治癒の治療として有用な可能性があります。このレビューでは、総参加者325名の9件のランダム化臨床試験を採用し、PRP療法の有効性と安全性を評価しました。治癒の面から見て、PRP療法群とコントロール群にはありませんでした。しかし、十分な検出力を備えた良く実施されたRCTによってこれらの結果を確認する必要があります。

著者の結論: 

自己PRP療法が慢性創傷の治療に有用であると示唆するエビデンスは現在のところみられない。しかし、現在のエビデンスは小規模なRCTに基づいたものであり、多くが、バイアスのリスクが高いか不明なものである。良くデザインされた十分な検出力を備えた臨床試験が必要である。

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背景: 

自己多血小板血漿(PRP)療法はフィブリンおよび高濃度の成長因子を含み、創傷治癒を助ける可能性のある治療法である。

目的: 

自己PRP療法が慢性創傷の治癒を促進するかどうかを判断すること。

検索方法: 

Cochrane Wounds Group Specialised Register(2012年8月15日検索)、The Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2012年第8号)、Ovid MEDLINE(1950~2012年8月第1週)、Ovid MEDLINE (In-Process & Other Non-Indexed Citations、2012年8月14日)、Ovid EMBASE(1980~2012年第32週)、EBSCO CINAHL(1982~2012年8月10日)およびInternational Clinical Trials Registry Platform (ICTRP)(2012年8月22日アクセス)を検索した。日付および言語による制限は設けなかった。

選択基準: 

成人でのあらゆる種類の慢性創傷に対し、自己PRP療法とプラセボまたは代替治療を比較したランダム化比較試験(RCT)を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独立して包含基準に照らして各研究を評価し、データを抽出し、すべての選択した試験についてバイアスのリスクを評価した。リスク比(RR)または平均差(MD)を算出し、創傷治癒までの時間をハザード比(HR)を用いて生存データとして解析した。I2統計量が75%を超える場合に異質性を有意と判断した。

主な結果: 

9件の適格なRCTを選択し、総研究参加者は325名で44%は女性であった。RCT毎の参加者数の中央値は26名(範囲、10~86名)であった。4件のRCTは様々な慢性創傷を保有する患者をリクルートしており(2つ以上の病因による創傷を有する参加者と数個の病因による創傷を有する参加者が同じ試験に存在した)、3件のRCTは静脈性下腿潰瘍を保有する患者をリクルートし、2件のRCTは糖尿病患者の足潰瘍を対象としていた。治療期間の中央値は12週(範囲、8~40週)であった。 1件の研究低いバイアスのリスク、3件の研究は高いバイアスのリスクで残りのもののバイアスのリスクは全般的に不明であった。PRP療法と標準治療またはプラセボとを比較した7件のRCTにおいて、完全に治癒した慢性創傷の割合が報告されていた。糖尿病性足潰瘍(RR 1.16、95%CI 0.57~2.35)、静脈性下腿潰瘍(プールされたRR 1.02、95%CI 0.81~1.27、I2 = 0%)、および慢性創傷の混合(プールされた RR 1.85、95%CI 0.76~4.51、I2 = 42%)において群間に統計学的有意はなかった。慢性創傷の混合の3件のRCTにおいて介入終了時の総上皮化面積の報告があり、群間に統計学的に有意なはなかった(プールされたMD -1.94 cm2、95%CI -4.74~0.86、I2 = 47%)。治癒した創面積の割合は慢性創傷の混合の2件のRCTで報告があり、結果は統計学的に有意にPRP療法群を支持するものだった(RR 51.78%、95%CI 32.70~70.86、I2 = 0%)。感染や壊死のような創傷合併症は3件のRCTで報告され、群間に統計学的に有意なはなかった(RR 1.08、95%CI 0.31~3.73)。有害な作用は3件の試験によって報告され、PRP療法による治療群とPRP療法が行われなかった群に統計学的に有意なはなかった(プールされたRR 1.07、95%CI 0.32~3.58、I2 = 0%)。

訳注: 

監  訳: 浅田 真弓,2013.2.19

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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