月経前症候群治療用ドロスピレノン配合避妊薬

レビューの論点

ドロスピレノンとエストロゲンを含有する避妊薬が、プラセボ(ダミー)ピルまたは他の避妊薬と比較して、PMSの女性の月経前症候群(PMS)症状の改善に有効であるかどうかを調べようとした。また、女性が経験するかもしれない副作用についても調べたいと思った。 

背景

PMSはよくある問題だ。重症のものは月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれる。症状には、行動の変化や日常生活に影響を及ぼす身体的徴候や症状が含まれる。これらの症状を治療するために、黄体ホルモンとエストロゲンホルモンを配合した避妊薬が研究されている。米国では、ドロスピレノンに低用量エストロゲンを配合した避妊薬がPMDDの治療薬として承認された。

研究の特性

858人の女性を対象とした5件の試験が見つかった。すべての試験で、ダミーピルとドロスピレノンと低エストロゲンピルが比較された。女性の大半は、試験前にPMSの重症型であるPMDDを患っていた。エビデンスは、2022年6月現在のものである。

主要な結果

3か月後、ドロスピレノンと低エストロゲンピルを服用した女性は、ダミーピルを服用したグループよりも月経前症状の重症度が低かった。ドロスピレノンと低エストロゲンピルを服用している女性は、より多くのことができ、より多くの社会的活動や友人がいると答えた。しかし、ドロスピレノンと低エストロゲンピルを併用している女性は、副作用のために試験から離脱する可能性が高かった。具体的には、吐き気、生理痛、乳房痛などである。これらはすべて、避妊薬の一般的な副作用である。ドロスピレノンと低エストロゲンピルの併用が3周期より長く有効かどうか、症状がそれほど重くない女性に有効かどうか、他の避妊薬より優れているかどうかはわからない。

月経前症状に対するドロスピレノンと低エストロゲンピルの有益な効果は小さいから中等度であったが、ダミーピルでも有意な有益性が認められた。ダミーピル服用中の副作用による試験中止の可能性を3%と仮定すると、低エストロゲンピルを含むドロスピレノン服用中の可能性は6%から16%となると、エビデンスは示唆する。また、ダミーピルによる副作用のリスクを28%と仮定すると、低エストロゲンピルを含むドロスピレノンによるリスクは40%から54%になるとしている。

エビデンスの質

エビデンスの質は非常に低度から中等度であった。エビデンスの主な限界は、研究方法の報告が不十分であったことと、結果の精度と一貫性が不十分であったことである。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳[2023.01.29]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD006586.pub5》

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