ホルモン剤による避妊薬の使用を改善する方法

論点

短期間効果が続くホルモン剤による避妊法の、適切で継続した使用を改善することに焦点を当てた方法(カウンセリング技術、教育、動機づけ、リマインダーメッセージなど)は、通常の家族計画ケア(ルーチンのカウンセリングやリマインダーメッセージがないもの)と比較して有効であるか。

重要である理由

短期ホルモン型避妊法は、世界中の多くの女性によって使用されている。最も一般的な短期ホルモン型避妊法は、経口避妊薬と注射薬である(訳者注:日本で利用できるのは経口避妊薬のみ)。これらの方法は、多くの場合、本来の効果を発揮しきれていない。女性達は、錠剤をいくつかなくしてしまったり、次の注射のための受診日が遅れたりするなど、避妊法を目的通りに用いるのに問題を抱えていることがある。女性達はまた、出血の状態が変化したため、避妊法をやめてしまうこともある。我々は、女性達がこのタイプの避妊法を正しく使用するにあたって、カウンセリングやリマインダーが役立つかどうかを調べた。

短期ホルモン型避妊法の誤用は、計画外の妊娠につながる可能性がある。アメリカ合衆国では、経口避妊薬の誤用のみに関連した妊娠だけで、計画外の妊娠の20%を占めている。計画外の妊娠は、女性や医療システムに対して、健康上および経済的に少なからぬ影響を与えている。短期ホルモン型避妊法の使用と継続性を改善する方法を特定することは、計画外の妊娠を減らすために重要である。

わかったこと

2018年7月までに出版されたランダム化比較試験(RCT)からエビデンスを検索した。この更新版レビューには、6242人の女性を含む10件のRCTが含まれている。6件の研究ではカウンセリングに焦点を当てていた。4件の研究では、次の服用量や受診予定のリマインダーを行い、一部は教育的な健康情報の提供も行っていた。すべての研究は、アメリカまたはメキシコのいずれかで実施されたものであった。更新版では1件の研究が追加されたが、結果に変更はなく、エビデンスの確実性も改善はされなかった。

カウンセリングについて

・避妊の継続を改善するかもしれない(6件の研究による、参加者人数2624人、非常に低い確実性のエビデンス)

・月経のトラブルによる避妊の中止を減らすかもしれない(1件の研究による、参加者人数350人、低い確実性のエビデンス)

・有害事象による避妊の中止を減らすかもしれない(1件の研究による、参加者人数350人、低い確実性のエビデンス)

・妊娠率には影響を与えないだろう(3件の研究による、参加者人数1985人、非常に低い確実性のエビデンス)

リマインダーについて

・避妊の継続を改善するかもしれない(2件の研究による、参加者人数933人、非常に低い確実性のエビデンス)

・ピルの服用アドヒアランスには、ほとんどまたは全く差がないだろう(1件の研究による、参加者人数73人、中等度の確実性のエビデンス)

・注射薬による避妊法で予定通りに注射を打つことに対しては、ほとんどまたは全く差がないだろう(2件の研究による、参加者人数 350人、低い確実性のエビデンス)

意味するもの

集中的なカウンセリングとリマインダー (教育情報の提供の有無にかかわらず) は両方とも、通常の家族計画ケアと比較して、短期ホルモン型避妊法の継続を改善する可能性があることを示すいくつかのエビデンスが得られた。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子、瀬戸屋希 翻訳[2020.3.29]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD004317.pub5》

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