高血圧に対する抗血小板薬と抗凝固薬

著者の結論: 

高血圧患者における一次予防にASAを用いた抗血小板療法によって、心筋梗塞の減少という利益が得られたが、大出血の増加という同程度の有害性により本利益は相殺された。

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背景: 

体血圧の上昇により血管内圧が高くなるが、冠動脈性心疾患(CHD)、虚血性脳卒中および末梢血管疾患(PVD)などの主要な合併症は出血よりもむしろ血栓症に関連している。血圧上昇に関連しているいくつかの合併症、心不全または心房細動はそれら自体が脳卒中および血栓塞栓症に関連している。そのため、高血圧患者において、血栓症関連合併症の予防に抗血栓療法が有用であるか検討することは重要である。

目的: 

収縮期および拡張期血圧の両方が上昇している患者ならびに収縮期または拡張期血圧のいずれかが単独で上昇している患者を含む、高血圧患者における抗血小板療法および抗凝固療法の役割に関するシステマティック・レビューを実施し、以下の仮説に対処すること(i)抗血小板薬は、プラセボまたは実薬治療と比較した場合、総死亡および/または主要な血栓性イベントを減少させる、(ii)経口抗凝固薬は、プラセボまたは実薬治療と比較した場合、総死亡および/または主要な血栓性イベントを減少させる。

検索方法: 

電子的データベース(MEDLINE、EMBASE、DARE、CENTRAL、Hypertension Group specialised register)を2011年1月まで検索した。電子的検索から得た論文の参考文献リスト、国内および国際的な心血管系会議の抄録をハンドサーチして、見過ごした、あるいは未発表の研究を同定した。研究関連のある著者に連絡を取り、さらなるデータを入手した。

選択基準: 

高血圧患者を対象に、期間が3カ月以上あり、抗血栓療法を対照または他の実薬治療と比較しているランダム化比較試験(RCT)

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを収集し、妥当性を確認した。異なる試験によるデータは、適宜プールした。

主な結果: 

合わせて計44,012例の患者を有する4件の試験選択基準を満たし、本レビューに組み入れられた。血圧上昇があり心血管系疾患の既往のない患者の一次予防において、アセチルサリチル酸(ASA)は、プラセボと比較して脳卒中および「全心血管系イベント」のいずれも減少させなかった。5年間ASAを服用した1件の大規模試験では、心筋梗塞が減少し[絶対リスク減少(ARR)0.5%、治療必要数(NNT)200例]、大出血が増加した[絶対リスク増加(ARI)0.7%、NNT 154例]。総死亡率および心血管系死亡率は低下しなかった。1件の試験では、脳卒中、心筋梗塞または血管死の複合エンドポイントについて、ASAとクロピドグレルとの間に有意はなかった。 2件の小規模試験では、ワルファリン単独またはワルファリンとASA併用により、脳卒中および冠動脈イベントの減少はみられなかった。 高血圧患者を対象にした二次予防の抗血小板療法に関するATCメタアナリシスでは、プラセボと比較して4.1%の血管イベント絶対数減少が報告された。ATCメタアナリシスに含まれた29件の個別試験による高血圧患者10,600例についてのデータを依頼したが、入手できなかった。

訳注: 

監  訳: 曽根 正好,2012.4.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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