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動脈瘤性クモ膜下出血に対するカルシウム拮抗薬

背景

二次性虚血はしばしば、クモ膜下出血(SAH)患者におけるアウトカムの不良原因である。その病因は完全には解明されていないが、血管攣縮がおそらくひとつの寄与要因であると思われる。実験研究から、カルシウム拮抗薬は血管攣縮を予防または逆転させ、神経保護作用があることが示唆されている。

目的

カルシウム拮抗薬によって動脈瘤性SAH患者のアウトカムが向上するか否かを判定する。

検索戦略

Cochrane Stroke Group Trials Register(最終検索日2006年4月)、MEDLINE(1966年~2006年3月)およびEMBASE(1980年~2006年3月)を検索した。ロシアの雑誌2誌(1990年~2003年)をハンドサーチし、1995年および1996年に試験者および製薬会社に問い合わせた。

選択基準

カルシウム拮抗薬とコントロールとを比較しているランダム化比較試験、あるいは介入群およびコントロール群の両群における別のカルシウム拮抗薬(ニモジピン)に追加した第2のカルシウム拮抗薬(硫酸マグネシウム)とコントロールを比較しているランダム化比較試験。

データ収集と分析

2名のレビューアが独立にデータを抽出し、試験の質を評価した。欠落した情報を得るために、試験者に問い合わせた。

主な結果

患者3361例を対象とした16件の試験を本レビューに含めた。3件の研究は、ニモジピンに追加した硫酸マグネシウムに関するものであった。全体的に、カルシウム拮抗薬はアウトカム不良リスクを低下させた。相対リスク(RR)は0.81(95%信頼区間(CI)0.72~0.92)であった。対応する患者の治療必要数(NNT)は19(95% CI 1~51)であった。経口ニモジピン単独では、RR は0.67(95% CI 0.55~0.81)であった。他のカルシウム拮抗薬またはニモジピン静脈内投与に対する結果は、統計学的に有意ではなかった。カルシウム拮抗薬によって二次性虚血の発現が低下し、症例の致死性に良好な傾向がみられた。標準的ニモジピン治療に追加したマグネシウムに関して、アウトカム不良に対するRRは0.75(95% CI 0.57~1.00)、二次性虚血の臨床的徴候に対しては0.66(95% CI 0.45~0.96)であった。

著者の結論

カルシウム拮抗薬は、動脈瘤性SAH後のアウトカム不良および二次性虚血のリスクを低下させる。「アウトカム不良」に対する結果は、経口ニモジピンに関する1件の大規模試験に大きく基づいている。その他のカルシウム拮抗薬についてのエビデンスは決定的なものではない。ニモジピンに対するエビンデンスは疑問の余地が全くないわけではないが、本治療の利益の可能性およびわずかなリスクを考慮すると、現時点では経口ニモジピンは動脈瘤性SAH患者に対する適応となる。現在のエビデンスに基づけば、カルシウム拮抗薬の静脈内投与はルーチン診療では推奨できない。硫酸マグネシウムは有望な薬剤であるが、決定的な結論を出す前にさらなるエビデンスが必要である。

訳注

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Citation
Dorhout Mees S, Rinkel GJE, Feigin VL, Algra A, van den Bergh WM, Vermeulen M, van Gijn J. Calcium antagonists for aneurysmal subarachnoid haemorrhage. Cochrane Database of Systematic Reviews 2007, Issue 3. Art. No.: CD000277. DOI: 10.1002/14651858.CD000277.pub3.

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