心血管疾患を予防するためのナッツ摂取

レビューの論点

このコクランレビューは、ナッツを食べることが心血管疾患を予防するかどうかという疑問に答えることを目的としている。

背景

心血管疾患は、心臓や血管に影響を及ぼす一群の疾患である。それらは世界中で主要な死因である。我々が食べる食物は、心血管疾患になるリスクに影響を与えるかもしれない。ナッツを定期的に比較的高用量 (50グラムから100グラム)摂取した場合、総コレステロールおよび低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール(悪玉コレステロール)を減少させると考えられている。

試験の特性

このレビューは、最低12週間継続したランダム化比較試験を組み入れている。参加者は平均して37歳から54歳までの年齢であった。エビデンスは、2015年7月30日現在のものである。

主な結果

5件の試験(参加者435名)を組み入れ、それらのうち1件には、2つの治療群が設定されていた。5件のすべての試験で、ナッツ摂取の効果が検討された。より多くのナッツを食べるよう指導した効果を検討した試験は確認されなかった。死亡もしくは心血管イベントに関して報告された試験はなかった。いずれの結果も、総コレステロール値および血圧に対する明らかな効果を示していない。1件の試験で、ナッツに対するアレルギー反応の1症例が報告された。3件の研究で、ナッツ摂取量増加によって有意な体重増加がないことが報告された。他のいずれの有害事象も報告されなかった。

エビデンスの質

すべての組み入れられた試験は、60名から100名の参加者による小規模なもので、ばらつきのレベル(異質性)が高い。したがって、その結果は慎重に解釈される必要がある。全般的に、組み入れられた試験は不明瞭なバイアスのリスクがあると見なした。

著者の結論: 

現時点では、一次予防におけるCVD臨床イベントに対するナッツ摂取の効果についてのエビデンスが欠如し、CVDの危険因子に対する効果についてのエビデンスがきわめて限定されている。結論を引き出すことができず、更に質が高く長期の十分な検出力のある試験が、レビューの疑問解明に必要である。

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背景: 

ナッツは数多くの栄養的要因を含んでおり、心保護作用があると考えられている。多くの疫学研究は、ナッツの摂取によって心血管疾患(CVD)の危険因子のある患者に対して有益な効果があるということを立証した。しかしながら、ランダム化比較試験(RCT)から得られた結果は一貫性に欠けるものであった。

目的: 

CVDの一次予防に対するナッツ摂取の有効性を確認すること。

検索方法: 

次の電子データベースを2015年7月30日まで検索した: Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、Web of Science Core Collection、CINAHL、Database of Abstracts of Reviews of Effects (DARE)、Health Technology Assessment Database (HTA)、およびHealth Economics Evaluations Database (HEED)追加試験のために、試験登録簿およびレビューの参考文献リストを検索した。検索に際して、言語の制限を設けなかった。

選択基準: 

健康な成人もしくはCVDリスクが中程度および高い成人を対象に、少なくとも3カ月以上継続して、ナッツ摂取量を増やすよう、もしくはナッツ供給量を増やして摂取を増加させるよう食事指導を行ったRCTを組み入れた。比較群は非介入、もしくは最小限の介入であった。重要なアウトカムは、CVD臨床事象およびCVD危険因子であった。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれ組み入れのための試験を選択し、データを抽出し、組み入れた試験におけるバイアスのリスクを評価した。

主な結果: 

5件の試験(参加者435名を無作為化)、および1件の進行中の試験を組み入れた。1つの研究は分類待ちである。すべての試験では、食事指導よりむしろナッツ供給を増やして摂取を増加させることについて検討した。組み入れられた試験のいずれも主要アウトカムであるCVD臨床イベントに関して報告されなかった、そして試験は小規模で短期間のものであった。5件の試験すべてでCVD危険因子について報告された。これらの試験のうち4件では、メタアナリシス用の利用可能なフォーマットでデータを得たが、異質性が認められたために大部分の解析でメタアナリシスが不可能であった。全般的に、試験には不明瞭なバイアスのリスクがあると判断された。

ナッツ摂取には、CVD危険因子(脂質値および血圧)に対してばらつきのある整合性のない効果が認められた。3件の試験では有害事象モニタリングを行った。1件の試験でナッツに対するアレルギー反応を報告し、3件の試験でナッツ摂取量増加によって有意な体重増加が認められなかったことが報告された。いずれの組み入れられた試験でも、他の副次的アウトカムである、CVDに対する主要な危険因子としての2型糖尿病の発症、健康に関連するQOLおよび費用は報告されなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.15]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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