陣痛誘発を目的とした催眠

陣痛誘発は、出産を促すための子宮収縮を人為的な刺激で作り出すことである。母体や胎児に問題が見つかった場合、妊娠後期で一般的に用いられる。薬理学的方法および機械的方法による陣痛誘発は、合併症を引き起こしたり、あるいは出血、帝王切開、子宮口の過刺激、母体感染や新生児感染などの副作用をもたらす可能性がある。催眠をはじめとする補完代替医療法は、陣痛誘発の方法として安全な選択肢となる可能性を有する。

催眠は、気を散らす外的要因に対する認知を遮断し、特定のイメージや想念あるいは感情に集中するリラクセーション技術である。催眠は、陣痛の間、痛みの感覚を緩和する目的で長い間用いられてきており、催眠によるリラクセーションは、出産に対し極度の不安を覚える女性に有効である可能性がある。催眠が有効であれば、これにより、自信や幸福感の増大、医療に関わる費用の削減も期待できる。しかし、陣痛誘発を目的とした催眠の有効性はこれまで検討されていない。陣痛誘発を目的とした催眠の効果を検討したランダム化比較試験(RCT)を検索した。本レビューに組み入れる研究は見つからなかった。重度の不安を抱える妊娠女性の陣痛誘発を目的とした催眠リラクセーションの有効性および安全性の十分な検討を可能にする、催眠を用いた試験が求められる。必要となる施術者訓練とともに、介入の期間とタイミング、女性と施術者の見解や体験をも考慮の対象とすべきである。催眠は、標準的ケア開始の遅れにつながる可能性があるため(催眠中は標準的ケアを行わない場合がある)、陣痛誘発における利用は症例ごとに検討すべきである。

著者の結論: 

陣痛誘発を目的とする催眠の効果を評価するRCTから得られたエビデンスは存在しなかった。陣痛誘発を目的とした本介入の有効性および安全性を評価するため、RCTによるエビデンスが求められる。催眠は、標準的ケア開始の遅れにつながる可能性があるため(催眠中は標準的ケアを行わない場合がある)、陣痛誘発における利用は症例ごとに検討すべきである。

一定レベルを超える不安を抱えた妊娠女性を対象に、陣痛誘発を目的とした催眠によるリラクセーションの有効性および安全性を検討するRCTが今後求められる。必要となる施術者訓練とともに、介入の期間とタイミングも検討すべきである。さらに、女性と施術者の見解や体験も今後のRCTに盛り込む必要がある。

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背景: 

薬理学的方法および機械的方法を用いた陣痛誘発は、合併症を増大させる可能性がある。催眠をはじめとする補完代替医療は、陣痛誘発の方法として安全な選択肢となる潜在的可能性を有する。しかし、陣痛誘発を目的とする催眠の有効性は未だ十分には評価されていない。

目的: 

陣痛誘発を目的とする催眠の効果と、無介入あるいは他の介入の効果とを比較し評価すること。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group’s Trials Register(2014年1月31日)の検索、関連性のある学会予稿集のハンドサーチを実施し、発表済および未発表文献の情報を求めて本領域の重要人物と団体に連絡を取った。

選択基準: 

催眠と無介入または他の介入とを比較し、基準を満たした発表済および未発表のランダム化比較試験(RCT)とクラスターRCTのすべて。陣痛が誘発されたか否かの評価を主要アウトカムとしている試験のみを選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が、同定した1件の試験報告を評価した(が、その後除外した)。

主な結果: 

検索戦略からは、RCTまたはクラスターRCTは同定されなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.10]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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