成人重症患者における体外式(体の外の)膜型人工肺(ECMO)

レビューの疑問成人重症患者の生存に対するECMOの効果

背景:体外式膜型人工肺(ECMO)は、心臓と肺を標的とする生命維持装置の一つである。重度の呼吸不全患者に、ECMOは体外でのガス交換を提供する。重度の心不全または心停止に陥った患者に対し、ECMO(または体外式心肺蘇生(ECPR))は、ガス交換および全身の血液循環を提供する。ECMOの使用には、いくつかのリスク(出血、血栓形成など)が伴う。

研究の特性:患者389人をECMO群と従来の肺サポートを受ける群にランダムに割り当てた4つの研究を同定した。すべての研究は、急性呼吸不全の患者を対象としていた。急性心不全や心停止を起こした患者を対象とした研究で完了したものは見つからなかった。1件の急性呼吸不全の患者を対象とした研究と、2件の急性心不全(心停止)患者を対象とした研究が進行中であることがわかった。本エビデンスは2014年8月現在のものである。

主な結果:急性呼吸不全患者に対して提供されるケアの臨床的な違いのために、個々の研究結果を統合することができなかった。個々の研究ではECMOを行った患者と行わなかった患者の比較において、6ヶ月時またはそれ以前の全ての原因による死亡にはがなかったと報告されていた。1つの研究では、生存は両群で低かったが、生存した患者で退院6ヶ月後に日常の活動に制限があったものはいなかった。別の研究では、ECMOを考慮してECMOセンターに搬送された患者において、研究登録から6ヶ月後の重度の障害を伴わない生存率の改善が認められた。3つの研究では、ECMO群の方がより多くの輸血を受けていた。1つの研究では、ECMO群でより多くの脳以外の出血が起こっていたことを報告し、別の研究ではECMO群で 2件の深刻な有害事象を報告した。別の研究では、ECMO群で3件の有害事象を報告した。

エビデンスの質研究間で臨床診療、研究計画、ECMOの使用方法がかなり異なっていた。時が経つに連れ技術革新(回路、ポンプ、人工肺)により、ECMO使用による患者の安全性もパフォーマンスも改善されつつある。急性呼吸不全患者に対する、これらの提供されるケアの臨床的な違いのため、個々の研究結果を統合することができなかった。成人の重症患者において、ECMOは、従来の肺サポートと比較して生存率を改善することに、より効果的であるかもしれないし、効果的でないかもしれない。進行中の研究の結果は、急性呼吸不全、心不全の患者の治療におけるECMOおよびECPRの役割をよりよく理解するのに役立つだろう。

訳注: 

《実施組織》 山本依志子 翻訳、山本良平 監訳 [2020.02.17]
《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD010381.pub2》

Tools
Information
Share/Save