膝関節置換術後の急性術後痛に対する大腿神経ブロック

膝関節の全置換術は、整形外科手術の中でも一般的で、痛みを伴うことが多い手術である。大腿神経ブロック(Femoral nerve block:FNB)は、手術後の痛みを軽減するために、膝の感覚を遮断する鎮痛手技である。FNBは、鼠径部への単回注射または麻酔薬の連続注入として投与される。

このレビューでは、FNBを他の一般的な鎮痛手技(オピオイドを用いた自己調節鎮痛法(PCA)、硬膜外鎮痛法、局所浸潤麻酔、経口鎮痛薬)と比較した。2710名を対象とした45件の無作為化化試験を組み入れた。含まれた研究のうち、30の治療群がFNBとオピオイドを用いたPCAの比較、10の治療群がFNBと硬膜外鎮痛法の比較、5つの治療群がFNBと局所浸潤麻酔の比較、1つの治療群がFNBと経口鎮痛薬を比較、4つの治療群が持続投与FNBと単回注射FNBを比較した。含まれた研究の平均的な方法の質は中等度であった。

FNB(タイプは問わない)は、オピオイドを用いたPCA単独と比較して、術後最初の72時間の安静時および体動時の疼痛が少なかった。また、FNBはオピオイドを用いたPCAと比較して、オピオイドの消費量が少なく、吐き気や嘔吐を伴う患者が少なく、膝の屈曲角度が大きく、患者の満足度が高い結果となった。さらに、持続投与FNBは、単回注射FNBよりも疼痛緩和に優れていた。

術後疼痛および24時間後のオピオイド消費量については、FNBと硬膜外鎮痛法の間には認められなかったが、前者では吐き気・嘔吐を伴う患者が少なく、患者満足度が高いと報告された。 同様に、局所浸潤麻酔とFNBを実施された参加者間では術後疼痛には見られなかった。FNBと局所浸潤麻酔または経口鎮痛薬との比較、または様々な鎮痛方法の安全性について結論を出すための情報は不十分であった。

訳注: 

《実施組織》 有家尚志 翻訳、井上円加 監訳[2020.4.29] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。    《CD009941.pub2》

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