薬剤耐性部分てんかんのアドオン治療としてのスチリペントール

背景

てんかんは、世界人口の1%が罹患しているといわれる慢性神経疾患の1つである。これらの人々の大部分(最大30%)は、抗てんかん薬(AED)を単独(単剤)または組み合わせ(多剤)で使用して十分な治療を行っているにもかかわらず、てんかん発作を起こし続けている。このような患者は薬剤耐性てんかんと呼ばれている。スチリペントールは、フランスで開発されたAEDで、2007年に欧州医薬品庁(EMA)より、バルプロ酸およびクロバザムとの併用療法として、ドラベ症候群(健康な乳幼児が生後1年以内に発症する薬剤耐性のある希少なてんかん)の治療薬として承認された。このレビューでは、AEDを使用している患者の薬剤耐性部分てんかんに対するアドオン治療としてのスチリペントールの使用に関するエビデンスを評価している。

結果

レビュー基準に基づき、1つの研究のみをレビューに含めた(部分てんかんの子ども32人)。本試験では、レスポンダー・エンリッチド・デザインを採用し、プラセボと比較して、スチリペントールの追加投与による発作の減少(50%以上)および発作の回避に関する明確なエビデンスは得られなかった。スチペントールの追加投与は、プラセボと比較して、全体的に見て副作用のリスクが高かった(リスク比(RR)は2.65、95%信頼区間(CI)は1.08~6.47)。無作為化、アドオン、プラセボ対照、二重盲検試験では、スチリペントールに反応した患者(ベースラインと比較して発作頻度が50%以上減少した患者)のみが対象となったため、試験結果をより広範な集団に一般化することには限界がある。また、サンプル数が非常に少なく、それに伴い脱落率も高かったため、研究結果を一般化することはできなかった。最後に、このような研究デザインを採用したため、持ち越し効果や離脱効果が発作頻度に関する結果に影響を与えたと考えられる。

エビデンスの確実性

この研究は、バイアスのリスクが低いか不明であると判断した。GRADEの方法論を用いて、エビデンスの確実性が低いと評価された。

現在のところ、薬剤抵抗性部分てんかんのアドオン治療としてのスチリペントールの使用を支持するエビデンスはない。このテーマについては、大規模な十分に実施されたランダム化試験が必要である。

エビデンスは2020年2月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2021.05.16]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009887.pub5》

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