てんかんに対するアドオン療法としてのスルチアム

レビューの論点

コクラン研究チームは、あらゆるタイプのてんかん患者にスルチアムを抗てんかん薬(発作を抑える薬)の追加薬として使用した場合、どの程度の効果があるかを調査した。

背景

てんかんは、発作を繰り返すことが特徴の神経学的(脳)疾患である。従来の抗てんかん薬によって、ほとんどの患者の症状が改善するが、約30%の人が発作を抱え続けている。このような人々は、薬剤抵抗性てんかんと言われている。

スルチアムは、ヨーロッパの一部の国やイスラエルで広く使われている抗てんかん薬である。てんかんの人のために、既存の抗てんかん薬と一緒に、追加の抗てんかん薬として使用されることもある。

主な結果

無作為化比較試験は、医薬品に対する最も信頼性の高いエビデンスを提供する。研究チームは、アドオン療法としてのスルチアムとアドオンプラセボ(不活化したダミー薬)、または他の抗てんかん薬とを比較したランダム化比較試験を医学文献から検索した。

研究者らは、てんかんの一種であるウエスト症候群と診断された生後3カ月から15カ月の乳児37人を含む関連する試験1件を発見した。この試験は、DESITIN Pharma(ドイツ)の資金提供を受けている。スルチアムまたはプラセボを追加する3日前に全ての乳児に抗てんかん薬であるピリドキシンの投与を行なった。乳児の親達は、自分の子供達がどちらのアドオン療法を受けているのかを知らされなかった。臨床試験は9日間続いた。

試験から、ピリドキシンで発作が止まらないウエスト症候群の人にスルチアムを追加することにより、てんかん発作を止める可能性があるという、非常に不確実なエビデンスが示唆された。プラセボを追加投与した場合(17人中0人)と比較して、スルチアムを追加投与した場合(20人中6人)では、30%以上の乳児の発作が止まった。このは、主に試験に参加した乳児の数が非常に少なかったため、統計的には有意ではなかった。

両群とも同数の乳児(各群で9人)が1つ以上の副作用を経験した。スルチアムの追加投与(20人中4人)では、プラセボ追加投与(17人中1人)と比較して、傾眠(眠気)を経験した乳児が多かったが、これも統計的には有意ではなかった。

試験に参加した乳児の数が少なく、期間も短いため、結果の信頼性に確信がない。

スルチアムがウェスト症候群や他のタイプのてんかんのアドオン療法として、どの程度効果があるのか、また重篤な望ましくない影響や有害な作用をもたらすかどうかについて、意味のある結論を導き出すためには、さらなるランダム化比較試験が必要である。

エビデンスは、2019年1月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》冨成麻帆、岩見謙太朗 翻訳[2020.08.20]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009472.pub4》

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