慢性腎臓病の諸症状に対する鍼治療と関連する介入

背景

慢性腎臓病患者は、さまざまな身体的および心理的な症状を経験するが、腎機能の低下および他の慢性的な健康問題があるため、治療の選択肢が限られている。鍼治療は、慢性疾患の患者の痛み、疲労や抑うつなどの一般的な症状を治療するために広く用いられている。本レビューは、現在のエビデンスおよび慢性腎臓病(CKD)患者における鍼治療の潜在的な役割を調査することを目的とした。

試験の特性

我々は、2016年1月までの文献を検索し、参加者1787名が関与する24件の研究を分析した。これらのうち、7件の研究のみに、解析に組み入れることができるデータがあった。研究は、ベースラインから4週間の維持血液透析を受けている患者に対する、ルーチンケアの補助として用いた指圧は、疲労、うつ病および睡眠障害を改善することを報告した。痛みを評価した研究はなく、ほとんどが鍼の有害事象が発生したかどうかを報告しなかった。

主な結果

全体的に、CKDの諸症状に対する鍼治療の有効性に関するエビデンスは、非常に低品質であることが判明した。ルーチンケアと併用する指圧は、血液透析を受けている患者における抑うつ、疲労、および睡眠障害から短期的に症状を緩和するであろう。本レビューの知見は、あまりにも信頼性のある研究が少なかったため、CKDの患者に対する他の鍼治療の利点を裏付けることができなかった。痛みは、CKDの患者の一般的な症状である。それゆえ、CKDの患者における疼痛コントロールのための鍼治療の役割は、さらなる研究事項に値する。

健全なエビデンスにより、CKDの患者に対するこれらの介入の安全性を裏付けされない限り、医師は慎重にCKDの患者に対する鍼治療の安全性を監視するべきである。

エビデンスの質

すべての研究は、特に参加者の選択および選択アウトカムの報告の観点から、高いバイアスのリスク、または不明なバイアスのリスクが評価され、結果の妥当性が疑わしくなった。

著者の結論: 

定期的な血液透析を受けている患者における疲労、うつ、睡眠障害、および尿毒症性掻痒症に対する補助介入としての指圧の短期的影響のエビデンスは非常に低品質であった。エビデンスの不足は、CKDの他ステージの患者における他のアウトカム(痛みなど)での他の鍼治療効果は、エビデンスがほとんどないことを示唆している。全体的に高いバイアスのリスクまたは不明なバイアスのリスクは、利益が報告されている鍼治療の妥当性を歪め、推定効果が不明確になる。鍼治療関連した有害性の不完全な報告では、鍼治療関連する介入の安全性を評価することができない。今後の研究は、痛みや他の一般的な症状があるCKD患者、および透析を行うCKD患者に対する鍼治療効果と安全性の調査が必要である。

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背景: 

慢性腎臓病(CKD)の人々は、さまざまな症状を経験し、多くの場合、複雑な併存疾患を持っている。CKDの人々に対する多くの薬理学的な介入には有害事象のリスクがあることが知られている。鍼治療は、慢性疾患の患者およびその他の一時的な状況の症状管理に広く用いられている。しかし、CKDの人々に対する鍼治療の安全性と有効性はほとんど知られていない。

目的: 

我々は、CKDの症状に対する鍼、電気鍼、指圧、灸、および他の鍼治療関連した介入(単独、または他の鍼治療関連した介入との併用)の利益と有害性を評価することを目的とした。特に我々は、鍼治療および関連介入と、従来の医療、非薬理学的な介入、およびCKDの症状に対するルーチンケアとを比較することにした。

検索方法: 

我々は、本レビューに関連する検索用語を用いてInformation Specialistとの接触を通じて2016年1月28日までのCochrane Kidney and Transplant Specialised Registerを捜索した。我々はまた、韓国の医療データベース(韓国総合学術データベース、DBPIA、Korea Institute of Science and Technology Information, Research Information Centre for Health Database、KoreaMed、the National Assembly Library)、および中国のデータベース(中国学術雑誌を含む)を検索した。

選択基準: 

我々は、言語や出版の種類を問わず、CKDステージ3〜5の成人において6回以上の治療を行った、鍼刺入の有無を問わない鍼治療および関連する経穴刺激介入の効果を調査したランダム化比較試験(RCT)および準ランダム化比較試験を対象とした。我々は、植物薬療法または研究グループ間で不均等に施術した共同介入を使用した研究を除外した。

データ収集と分析: 

2名の著者がそれぞれデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。我々は、連続アウトカムに95%信頼区間(CI)、二値アウトカムにリスク比(RR)を用いて、平均差(MD)または標準化平均差(SMD)を算出した。主要アウトカムは、疼痛および抑うつの変化、および重篤な有害事象の発生とした。

主な結果: 

我々は、参加者計1787名が関与した24件の研究を対象とした。マニュアル鍼と指圧、耳指圧、経皮的ツボ電気刺激、経穴への遠赤外線照射、間接灸を含む、さまざまな種類の鍼治療関連する介入を報告した研究。CKDステージは、透析前のステージ3または4および、血液透析または腹膜透析のいずれかで治療中の末期腎疾患を対象とした。

対象とした研究のいずれも、疼痛アウトカムを評価しておらず、正式に重篤な有害事象の発生に対処した研究はなかったが、3件の研究は、参加者3名の死亡および3件の消耗を理由とした入院を報告した。3件の研究は、軽微な鍼治療関連の有害性を報告し、その他の研究ではイベントが発生したかどうかについて報告しなかった。

すべての研究は、割付けの隠蔽化の観点から、高いバイアスのリスクまたは不明なバイアスのリスクと評価された。17件の研究では、2カ月間のみ測定したアウトカムを報告した。

ルーチンケアとを比較したエビデンスは非常に質が低いが、マニュアル鍼は、ベックうつ病調査票のスコア(スケール0〜63)(3件の研究、参加者128名、MD -4.29、95%CI -7.48〜-1.11、I2 = 0%)、アップデートパイパー疲労スケールのスコア(スケール0〜10)(3件の研究、参加者128名、MD -1.19、95%CI -1.77〜-0.60に、I2 = 0%)、ピッツバーグ睡眠質問票スケールのスコア(スケール0〜21)(4件の研究、参加者180名、MD -2.46、95%CI -4.23〜-0.69、I2 = 50%)を低下させた。

我々は、データ不足、および異なる介入、比較方法、アウトカム測定のタイミングなどの臨床における異質性の問題があっため、さらなるメタアナリシスを行うことができなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.13]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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