分娩時の疼痛管理のためのアロマセラピー

アロマセラピーでは、植物の治癒力を利用して心身の健康を向上させるために精油を使用する。精油は、マッサージによって皮膚から吸収させたり、浴槽に入れたり、ディフューザーやバーナーを用いて吸引したりする。分娩時の疼痛は強く、緊張、恐怖および不安によって疼痛が悪化する。多数の女性が薬物や硬膜外麻酔などの侵襲的方法を使用せずに分娩したいと考え、疼痛感覚の低減に補完療法を選択している。鍼、心身リラクゼーション法、マッサージ、リフレクソロジー、薬草療法、ホメオパシー、催眠術、音楽、アロマセラピーなど多数の補完療法が試みられている。本レビューでは、アロマセラピーに関する2件のランダム化比較試験を同定した。513名の女性が参加した1件の試験では、ローマンカモミール、クラリセージ、フランキンセンス、ラベンダーまたはマンダリンのいずれか1種類の精油を標準ケアと比較した。アロマセラピーは経穴、テーパーキャンドル 、パップ剤、足湯、マッサージ、水中分娩用プールに使用した。別の試験では、22名の女性参加者をジンジャーまたはレモングラスのいずれかの精油を用いた水浴を1時間以上実施する群にランダムに割り付けた。女性参加者は全員ルーチンケアを受け、鎮痛薬の利用が可能であった。試験の結果、痛みの強さ、経膣介助分娩、帝王切開および鎮痛薬(硬膜外麻酔)の使用に群間は認められなかった。総じて、分娩時の疼痛管理に対するアロマセラピーの有益性に関するランダム化比較試験によるエビデンスが不足している。今後もさらなる研究が必要である。

著者の結論: 

分娩時の疼痛管理におけるアロマセラピーの役割を評価した研究が不足している。臨床現場で推奨するには、さらに研究が必要である。

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背景: 

多数の女性が分娩時の疼痛管理に薬物や侵襲的な方法の使用を避けたいと考えているため、補完療法による疼痛管理の人気が高くなっている。本レビューでは、現時点で得られている、分娩時の疼痛管理に対するアロマセラピーの使用を支持するエビデンスを検証した。

目的: 

周産期の母体の病的状態に対するアロマセラピーの分娩時疼痛管理効果を検証すること。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年10月31日)、The Cochrane Complementary Medicine Field's Trials Register(2010年10月)、 Cochrane Central Register of Controlled Trials(The Cochrane Library 2010年4号)、MEDLINE(1966年〜2010年10月31日)、CINAHL(1980年〜2010年10月31日)、Australian and New Zealand Trials Registry (2010年10月31日)、Chinese Clinical Trial Register(2010年10月31日)、Current Controlled Trials(2010年10月31日)、ClinicalTrials.gov(2010年10月31日)、ISRCTN Register(2010年10月31日)、National Center for Complementary and Alternative Medicine(NCCAM)(2010年10月31日)およびWHO International Clinical Trials Registry Platform(2010年10月31日)を検索した。

選択基準: 

アロマセラピーをプラセボ、無治療または薬物以外の分娩時疼痛管理法と比較したランダム化比較試験

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれ試験の質を評価し、データを抽出した。追加情報を入手するため、試験著者に連絡を取った。

主な結果: 

本レビューには2件の試験(女性参加者535名)を組み入れた。試験の結果、主要アウトカムである疼痛強度、経膣介助分娩(リスク比(RR)1.04, 95% 信頼区間(CI)0.48〜2.28, 1試験, 女性参加者513名; RR 0.83, 95% CI 0.06〜11.70,1試験, 女性参加者22名)および帝王切開(RR 0.98, 95% CI 0.49〜1.94, 1試験,女性参加者513名; RR 2.54, 95% CI 0.11〜56.25, 1試験, 女性参加者22名)に群間は認められなかった。1件の試験では、対照群の方が新生児集中治療室に入室する率が高かった(RR 0.08, 95% CI 0.00〜1.42, 1試験, 女性参加者513名)が、統計学的有意は認められなかった。試験の結果、副次アウトカムである鎮痛薬の使用(RR 0.35, 95% CI 0.04〜3.32, 1試験, 女性参加者513名; RR 2.50, 95% CI 0.31〜20.45, 1試験, 女性参加者22名)、経膣自然分娩(RR 1.00, 95% CI 0.94〜1.06, 1試験, 女性参加者513名; RR 0.93, 95% CI 0.67〜1.28, 1試験, 女性参加者22名)、分娩時間および陣痛促進時間(RR 1.14, 95% CI 0.90〜1.45, 1試験, 女性参加者513名)に群間は認められなかった。試験バイアスのリスクは低かった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.13]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
分娩時の疼痛管理のためのアロマセラピーCD009215

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